全世代で共通の話題というのは、なかなか見つけることが難しいですが、実は「老後の生活」や「年金」は、老若男女が共通して関心のあること。誰もが「将来いくらもらえるのか……」と気をもんでいます。国民年金も厚生年金も計算式があるので、受取額の見込みは算出できますが、それでは不十分のようです。みていきましょう。
月収39万円・40歳サラリーマン…65歳でもらえる「年金月額」に衝撃「これは悪夢か!?」

20年後の日本…「年金減額」が既定路線!?

――平均的な給与だけど、年金はどれくらいもらえるんだろう……

 

そんな、年金を受け取るまであと20年に迫った45歳のサラリーマンがいたとします。40代後半、正社員の平均給与は月39.5万円、年収で652万円です。

 

仮に20歳から60歳まで、ずっと平均的な給与を手にしてきたとしましょう。平均標準報酬額は47万円となり、便宜上、前出②の式のみで算出すると、厚生年金部分は10.3万円。そこに国民年金がオン。満額支給であれば、月17万円ほど手にできることになります。仮に妻が専業主婦だとすると、夫婦で23万円程度を手にする計算。実際の手取りは85~90%程度なので、月19.5万~20.7万円……これが“老後生活の源”となります。

 

ただし、実際にこの金額を20年後に手にできるかはかなり未知数です。

 

◆この20年で平均年金額はどう変わった?

2001年の厚生年金の平均受給額は174,839円。2011年、厚生年金の平均受給額は152,396円でした。20年前と比べると16%、10年前と比べると4%ほど、受取額は下がっています。

 

一方、国民年金はこの20年で、満額支給額は6.4万円~6.7万円程度でした。

 

もちろん法改正などの影響もあり、単純に比較することはできませんが、計算通りの金額を手にできる可能性は低く、しかも減額が濃厚だといえるでしょう。

 

◆政府の試算から考えると……

公的年金の財政状態は5年に一回チェック(財政検証)が行われ、直近は、2019年に行われました。そこでは、経済成長や人口増加・減少の状況などに応じて、将来の年金の見通しをシミュレーションしています。

 

たとえば出生数も死亡数も中間くらいの増減を想定し、経済成長と労働参加が進まない~進むケースを考えた場合、厚生年金の所得代替率は、2043~2047年ごろに50~51%になるとしています。

 

所得代替率は公的年金の給付水準を示す指標で、現役男性の平均手取り収入額に対する年金額の比率。2019年度は61.7%でした。それが現在45歳の人が年金を受け取る頃には50~51%になっている試算しているのです。これは簡単にいうと、年金がそれだけ目減りするということ。人口増減が中間の予測の場合、どれだけ日本が経済成長しようが、どれだけ日本が変わろうが、年金は2割は目減りするのです。

 

年金2割目減りということは、「夫婦で月23万円」という年金額が「夫婦で月18万円」程度の価値になるということ。65歳以上夫婦の1ヵ月の支出額は23万円ほど。年金の手取り額から考えると月3万円ほど赤字となる計算です。それが年金2割減だと月7万円ほどの赤字へと拡大。年金への依存度が高い老後で月4万円の差。「これは悪夢か……」、そう思ってしまうほどのインパクトです。

 

少子高齢化が加速度的に進む日本において、現状以上に年金の受取額が増える可能性はかなり低いでしょう。先日、「出生数の低下が想定よりも10年以上早い」というニュースが話題になりましたが、そのことからも、将来を悲観的に捉え、資産形成を進めていったほうが身のためです。