まるで苦渋を舐めるかのように生きてきた「氷河期世代」。一方で、日本の好景気を味わった「バブル世代」。ほんの10年ほどの違いで状況は大きく変わり、人生そのものが大きく変わりました。2つの世代が歩んできた道を振り返ってみます。
平均月収51万円「良い時代に生まれたよ」バブル世代の高笑いに、氷河期世代はイラッ「時代を恨むしか」

「氷河期世代」と「バブル世代」…同年齢の給与を比較してみると

――上の世代を妬ましく思うなんて、逆恨みでは?

 

そう思うかもしれませんが、給与ひとつとっても、思わず「バブル世代は……」と愚痴をこぼしてしまいたくなる惨状です。

 

1977年生まれで2000年大学卒業、今年46歳になる氷河期世代のサラリーマンと、1967年生まれで1990年に大学卒業、今年56歳になるバブル世代のサラリーマン。2人の給与をみていきます。

 

まさに就職氷河期のなかでもどん底だった2000年。なんとか社会に出た氷河期世代の月収(所定内給与額)は平均21万円ほど。一方、30代前半となったバブル世代の月収は平均32万円ほどでした。

 

それから10年。リーマンショックにより、世界経済が一気に落ち込んだ時期。30代前半になった氷河期世代の月収は平均30万円、40代前半になったバブル世代の月収は平均45万円。

 

さらに、それから10年。新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、世界が未曽有の危機に直面した年、40代前半になった氷河期世代の月収は平均41万円、50代前半になったバブル世代の月収は平均52万円。

 

この2つの世代、同年齢で給与を比べた時、氷河期世代はバブル世代を一度も超えられていないことに気づくでしょう。「昔は良かったなあ」と回顧するバブル世代に、氷河期世代が思わずイラっとしてしまう要因のひとつかもしれません。

 

【氷河期世代はバブル世代の給与を一度も超えられていない】

■2000年(氷河期世代:23歳、バブル世代:33歳)

20代前半:21万6,800円/323万9,000円

30代前半:32万8,700円/577万5,000円

 

■2010年(氷河期世代:33歳、バブル世代:43歳)

30代前半:30万9,900円/513万5,000円

40代前半:45万4,300円/741万3,000円

 

■2020年(氷河期世代:43歳、バブル世代:53歳)

40代前半:41万6,400円/687万6,000円

50代前半:52万6,600円/869万0,000円

 

出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より

 

そして2022年。40代後半となった氷河期世代の月収は45.5万円、賞与も含めた年収は746万円。一方、50代後半になったバブル世代の月収は51.3万円、年収は834万円。やはり、バブル世代を超えられない氷河期世代がいます。

 

バブル世代は氷河期世代の惨状をみて「生まれた時代が良かった」と笑い、氷河期世代はバブル世代の余裕ぶりをみて「生まれた時代が悪かった」と悔し涙を流しているでしょうか。

 

昨今の賃上げブーム。物価高を超えられていない現状はあるものの、景気対策などの観点からも、インフレ率を超える賃上げに期待が集まっています。時間はあまり残されていないにせよ、最終的には氷河期世代も「大変だったけど、あの時代に生まれてよかったよ」といえるような時代が訪れることを願うばかりです。