政治経済や軍事、人口動態などさまざまな観点から総合的にみると、米国の強さは今後も続くと考えられます。ゆえに、米国株は個別株・インデックスファンドともに人気です。しかし、そんな米国株投資にも、3つの気をつけるべき点があると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。詳しくみていきましょう。
投資初心者も経験者も大好きな「米国株」だが…投資のプロが警告する“3つの注意点” (※写真はイメージです/PIXTA)

「為替レート」によって損失を被る可能性

1株100ドルのある米国個別株を、1株買ったとします。そして、当時1ドルが150円だったため、購入時には100ドル=15,000円が必要でした。なお、手数料はここでは考慮しません。

 

1年後、その株が20%上昇し、1株120ドルとなりました。そのため売ろうとしますが、為替レートが変動していて、その時点で1ドルは100円となっていました。

 

すると、売っても120ドル=12,000円にしかなりません。株価は十分に上昇したのですが、結果的に為替変動によって、損失を被ってしまうのです。

 

このように、米国も含めて海外の金融商品を買う場合は、為替レートにも注意が必要です。円高の時に買い円安の時に売れれば、利益は大きくなります。しかし、以上の例のように。円安時に買い円高時に売った場合、それだけでも損失となってしまうのです。

 

なお、先ほど例に挙げた上場投資信託「Vanguard S&P500 ETF」の2020年から2022年の利益率も、先ほどは外貨ベースでの値を示しましたが、円貨ベースでの値は異なってきます。

「米国株」は会社のことを知りづらい

また、米国の個別株を買う場合などは特に、日本に住んでいるためその会社のことを知りづらい、という点にも注意が必要です。

 

その会社のウェブサイトや決算書を調べるのにも、英語というハードルがあります。

 

そして、もしそのハードルを越えられたとしても、その会社が日本に進出していない限り、商品やサービスを実体験することや、評判を耳にすることはできません。

 

そのあたりはネットで調べるのにも限界があり、自分の実体験や、実体験に基づいた評判を聞くことにはおよばないでしょう。

 

また、仮に日本に進出している会社であっても、やはり米国本土での活動内容を直に知ることができれば、それが一番良いはずです。

 

日本人が日本企業について知るよりも、日本人が米国企業について知ることのほうが難しく、その点が株式投資においてもハンデとなる可能性があります。

 

安易な米国株投資はむしろ「しないほうがよい」

人気の米国株投資ですが、人気があるゆえに割高傾向である、為替レートによって損失を被りかねない、日本の会社に比べてその会社を知りづらい、という3点には注意が必要です。

 

人気があるからと安易に考えず、以上の点を考えつつも勝算を見出せた時にのみ、投資をすることをおすすめします。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓