「人気があるゆえ」の注意点
まず、米国株は人気があるゆえに割高傾向である、という点が挙げられます。
たとえば、米国市場で有名な「S&P500」を指標とするインデックスファンドは、2023年1月末の時点で、以下のような値を示しています。
【S&P500ファンドのPER・PBR】
・PER(実績値):20.7倍
・PBR :3.8倍
※上場投資信託「Vanguard S&P500 ETF」を参照
一方、日本市場で有名な「日経平均株価」は、2023年2月末の時点で、以下のような値を示しています。
【日経平均株価のPER・PBR】
・PER(実績値):13.60倍
・PBR :1.18倍
※「日本経済新聞」を参照
単純に日本株と比較するとよくわかりますが、前途有望と考えられている米国株は、やはり現在価格が割高傾向にあるのです。
もちろん、将来の成長性を考えればその価格も割高ではない、という判断もできます。将来の成長分が現在の株価に転嫁されているだけだ、ということです。
しかし、それは判断が難しいところでもあります。例を挙げてみましょう。
新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年、日本と同様に一度は株価を大きく下げた米国株でしたが、その後大きく回復・上昇します。
上記の「Vanguard S&P500 ETF」の価格は外貨ベース・市場価格で、2020年に18.29%、2021年に28.76%上昇します。ところがさすがに上がりすぎたのか、2022年は18.19%のマイナスになってしまいました。したがって、2021年のある時期以降にこのETFを買った人は、2022年にかけて損失を被ったはずです。
どこまでが妥当で、どこからが割高すぎるのか。成長性の分も含めて株価が割高か否かというのは、判断が難しいのです。
なお、それでも成長性を考慮して米国株を買うならば、何年も保持し続けるつもりでいたほうがよいでしょう。