政治経済や軍事、人口動態などさまざまな観点から総合的にみると、米国の強さは今後も続くと考えられます。ゆえに、米国株は個別株・インデックスファンドともに人気です。しかし、そんな米国株投資にも、3つの気をつけるべき点があると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。詳しくみていきましょう。
投資初心者も経験者も大好きな「米国株」だが…投資のプロが警告する“3つの注意点” (※写真はイメージです/PIXTA)

「人気があるゆえ」の注意点

まず、米国株は人気があるゆえに割高傾向である、という点が挙げられます。

 

たとえば、米国市場で有名な「S&P500」を指標とするインデックスファンドは、2023年1月末の時点で、以下のような値を示しています。

 

【S&P500ファンドのPER・PBR】

・PER(実績値):20.7倍

・PBR     :3.8倍

※上場投資信託「Vanguard S&P500 ETF」を参照

 

一方、日本市場で有名な「日経平均株価」は、2023年2月末の時点で、以下のような値を示しています。

 

【日経平均株価のPER・PBR】

・PER(実績値):13.60倍

・PBR     :1.18倍

※「日本経済新聞」を参照

 

単純に日本株と比較するとよくわかりますが、前途有望と考えられている米国株は、やはり現在価格が割高傾向にあるのです。

 

もちろん、将来の成長性を考えればその価格も割高ではない、という判断もできます。将来の成長分が現在の株価に転嫁されているだけだ、ということです。

 

しかし、それは判断が難しいところでもあります。例を挙げてみましょう。

 

新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年、日本と同様に一度は株価を大きく下げた米国株でしたが、その後大きく回復・上昇します。

 

上記の「Vanguard S&P500 ETF」の価格は外貨ベース・市場価格で、2020年に18.29%、2021年に28.76%上昇します。ところがさすがに上がりすぎたのか、2022年は18.19%のマイナスになってしまいました。したがって、2021年のある時期以降にこのETFを買った人は、2022年にかけて損失を被ったはずです。

 

どこまでが妥当で、どこからが割高すぎるのか。成長性の分も含めて株価が割高か否かというのは、判断が難しいのです。

 

なお、それでも成長性を考慮して米国株を買うならば、何年も保持し続けるつもりでいたほうがよいでしょう。