(※写真はイメージです/PIXTA)

世間一般的に富裕層に分類されるような資産家であっても、老後に生活苦へ陥り、最悪、破綻を迎えるケースがあります。一体なぜなのでしょうか? 本記事では、61歳のAさんの事例とともに富裕層の老後破産についてFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。

Aさんの老後資金を残すには?FPからの助言

Aさんは不動産の評価を時価評価で算出しましたが、相続の分割は必ず時価で行わなければいけない、というものでもありません。ほかに相続税評価額等で算出する方法もあります。相続人のあいだでは、この評価額をいくらにするかで意見がわかれ、代償金の金額がなかなか決まらずに分割協議がまとまらないこともあります。

 

Aさんの場合、不動産の評価方法を下記のように変えることで、遺産分割の財産評価額を2億円まで下げることが可能です。

 

1.自宅の土地       約1億5,000万円

2.自宅の建物       約2,000万円

3.預貯金等金融資産    約3,000万円

4.生命保険        遺産分割対象外

合計 約2億円

 

Aさんが弟さんに渡す金銭は1億円となり、保険金と父親が残した金融資産でちょうど賄うことができ、Aさんは相続税分の現金のみを用意すればいいことになります。

 

Aさんは弟さんと仲もよいため、Aさん側の下記の事情を伝え、話し合うことを勧めました。

 

1)亡くなった父親の強い希望もあり、自分の代では家を手放したくない、ということ

2)老後のための資金がなくなり、このままでは息子達に迷惑をかけてしまうこと

3)父母の面倒は最後まで同居してきたAさん自身が看てきたこと

 

なお、3)については弟さん自身も自覚しているでしょうし、口に出すとかえって揉めてしまうことになるため、伝え方はなかなか難しいでしょう。

 

遺産分割をめぐるトラブルは増加傾向にあり、遺産の額に関係なくどの家庭にも起こりうるものとなっています。老後資金設計に併せて相続についても関心を持っていただくとともに、早めの対策を講じるようにしましょう。

 

<注釈>

・税金等については、現在の税制で計算し直しています。

・相談者のプライバシーを考慮し、一部脚色しています。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表

 

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※プライバシーを考慮し、実際の相談内容から一部変更しています。

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