毎月、決まって給料が振り込まれる……そんな日常がなくなる老後は、やはり誰もが不安に思うもの。そんな老後を支えるのが「公的年金」ですが、過度に期待するととんでもないことになるかもしれません。みていきましょう。
元会社員で「平均月17万円」だが…「年金にすがる」日本人の悲惨すぎる真実 

年金への「過度な期待」は命取りになる!?

厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金受給者(国民年金のみ受け取る人)の平均年金受給額は月額5万6,479円。厚生年金受給者(国民年金と厚生年金を受け取る人)の平均年金受給額は14万5,665円です。ここには繰上げ受給分も含まれるので、65歳以上に限って見てみると、16万9,006円となります。

 

元・会社員であれば、月17万円の年金。手取りは14万円程度になり、これが老後の生活の軸となります。

 

一方で総務省家計調査によると、65歳以上の高齢者の1ヵ月の生活費(消費支出)は14万円程度。ちょうど年金だけでトントンとなる計算です。あくまでも、すべて平均値で考えた場合なので、すべての日本人が「老後、年金だけで暮らせること」を保証しているわけではありませんが、老後に対して、少しは明るい未来がみえたでしょうか。

 

ただ、そんな甘い話はありません。年金を受け取り始める65歳における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合か、を示す「所得代替率」に注目すると、20年後には2割ほど下がることが確実視されています。

 

単純な話、20年後、年金2割目減りは避けられないのです。

 

あくまでも複雑なシミュレーションによる推測値なので、そんな未来が必ず訪れるとは言い切れません。予想よりプラスの方向に進んでいき、「たくさん年金がもらえて幸せ」という未来になるかもしれませんし、想定よりもマイナスの方向に進み「とても生きていけない」という未来が訪れるかもしれません。

 

ひとつ、思い出すのは、日本で進む少子化。先日、「想定よりも10年早く少子化が進んでいる」と大きな話題になり、未だかつてないほど緊急課題として少子化対策が取り上げられるようになりました。少子化と同様、想定よりも「年金の目減りが早い」ということも十分考えられるのです。もしかしたら、年金2割減が10年早く……そんな未来も、ゼロではありません。

 

年金は100年安心とはよくいわれたものですが、これは「年金制度は今後、100年後も維持できる」ということ。100年、同水準で年金を手にできるということではありません。年金への過度な期待は捨て、可能な限り資産形成に努めたほうが、どんな未来であろうと安心であることだけは確実です。