お金がないから進学を諦める……そんな人たちを救ってくれる奨学金。多くの人が利用しているのは、返済義務のある貸与型の奨学金です。学校を卒業すると、いよいよ返済が始まりますが、さまざまな理由で延滞してしまう人がいます。みていきましょう。
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学生の2人に1人は奨学金を利用

経済的な理由や家庭の事情で進学が難しい人に向けて、学費の給付や貸与を行う「奨学金」。日本学生支援機構『令和2年度 学生生活調査』によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学(昼間部)で49.6%、短期大学(昼間部)で56.9%、大学院修士課程で49.5%、大学院博士課程で52.2%。学生の過半数は、何かしらの奨学金を利用しています。

 

奨学金は大きく2種類。学校卒業後に返済する必要のある「貸与型」と、返済の必要がない「給付型」があります。

 

貸与型は、給付型に比べて採用基準が低かったり、採用人数が多かったりする一方で、返済義務を追うというデメリットがあります。給付型は返済の心配はゼロの一方で、採用基準が高かったり、採用人数が少なかったりするデメリットがあります。

 

多くの学生が利用する日本学生支援機構の貸与型奨学金には、利子のない「第一種奨学金」と利子が付く「第二種奨学金」の2種類があり、第一種のほうが第二種よりも採用基準が厳しくなっています。たとえば学力基準。第一種は「高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が、5段階評価で3.5以上」に対し、第二種は「高等学校等における申込時までの全履修科目の学習成績が平均水準以上である等」となっています。

 

実際に奨学金はいくらになるかは、状況に応じて異なります。たとえば第一種奨学金の場合、国公立大学で自宅通学であれば最高月4.5万円、自宅外通学であれば5.1万円です。一方、第二種奨学金の場合、一部例外を除き、2.0~12.0万円の間で1万円単位で選択ができます。

 

日本学生支援機構では、1984年以降、この2つの貸与型奨学金を運営してきました。そのため「奨学金=いずれ返すもの」というイメージが定着しましたが、2017年4月に「給付奨学金制度」が創設され、「返さなくてもいい奨学金」の利用者が徐々に増えています。

 

給付奨学金は住民税非課税世帯、およびそれに準ずる世帯が対象であり、収入や資産などの家計基準と3.5以上の学力基準を満たす必要があります。また給付型奨学金対象者は、入学金や授業料の免除、または減額を受けることもできます。すべての学校が給付型奨学金の対象になるとは限らないので、進学先が対象か確認しておく必要があります。

 

ちなみに支給額は、国公立大学の自宅通学で月2.92万円、自宅外通学で6.67万円。私立大学では自宅通学で3.83万円、自宅外通学で7.58万円となっています。