日本人の年間給与所得額の平均は443万円です(国税庁)。ただ、いまの日本には「平均以上の収入」があっても豊かな生活を送れないという現実があります。年収520万円、お小遣い月1万5,000円でも「毎月10万円の赤字生活」という須藤慎太郎さん48歳への取材でみえた“日本のリアル”を、『年収443万円』(講談社現代新書)著者でジャーナリストの小林美希氏が解説します。
年収520万円の48歳サラリーマン“お小遣いは月1万5,000円”…平均年収以上でも「仕事の経費すら怖い」という日本の現実【ジャーナリストの実録】 ※画像はイメージです/PIXTA

須藤さんが考える「自らの老後」とは

「甲類焼酎、バタピー、厚揚げ」という贅沢

こういう状況なので、おごってくれる上司と飲みに行くのが嬉しいです。自分にとってご褒美をもらえている感じがしますよ。

 

あとは、家で飲みます。「イオン」で紙パックに入っている大きなサイズの甲類の焼酎を1,000円くらいで買って、おつまみには100円のバターピーナッツ。88円の厚揚げを買ってきてフライパンでごま油で炒めて食べる。妻がつきあってくれて、いろいろ話しながらお酒を飲むのが最高ですね。

 

釣りも好きで、埠頭に行くとカサゴがよく釣れるので、その場で締めて夕飯にする。釣りはお金がかからなくていいんです。

 

「中流以下」でも車を持つ理由

車の維持費がかかるのですが、ないと不安で。ガソリン代がかからないように、なるべく乗らないようにしています。

 

それというのも、東日本大震災の時に、うちの辺りは電力不足で計画停電になったんです。電気や冷蔵庫が使えなくなっただけでなく、情報も入らなくなって妻が不安で不安で仕方なくなって。

 

車さえあれば、エンジンをかけてテレビやラジオもつけられるので、車だけは持っておこうと決めているんです。車を持っていると、ガソリン代が月5,000円。税金や保険で年7万円もかかりますが、土日に買い出しにも行けるし。中流以下の僕は、安いスーパーを探します。「三和」「イオン」「業務スーパー」の常連ですね。

 

こういう状態で、もし自分に病気が見つかるといけないので、健康診断は受けません。老後のことなんて考えられないですよ。自分には老後が来ないと信じています。

 

 

小林 美希

ジャーナリスト