給与が上がらず「日本のサラリーマン」…さらなる負担増は既定路線
この20年、国は1人当たりの生産性を上げようと、最低賃金の引き上げを積極的に行ってきました。少子高齢化のなか、労働人口は減少傾向にあり、1人当たりの生産性を上げないといけない、というもので、賃金が上がる→生活が安定する→労働者の生産性が上がる、というものです。
しかし最低賃金の引き上げは、会社員の給与にはなんら関係なく、この20年、「給与が上がらないなあ……」と、誰もが首を傾げていたわけです。しかも、これから会社員の手取り額はさらに大きく減っていくという事態が想定されています。
現在、月収43万円だとすると、独身であれば手取り31.7万円ほど、夫婦と子どもが1人であれば33万円ほど。そんななか、異次元の少子化対策の財源問題で、「少子化対策の財源はまず徹底した歳出改革等で確保することを原則とする」と強調する一方で、医療保険など社会保険料の引き上げもほぼ確実といわれています。
健康保険組合連合会によると、2023年度の健康保険の平均料率が9.27%になる見通しとし、介護・年金・医療を合わせた保険料率は29.35%と過去最高の水準に達したといいます。今後も高齢化は進んでいき、医療費や介護費はさらに増えていくのは確実。保険料はさらに引き上げられるのも既定路線です。そこに「少子化対策」という名目でプラスαとなるわけです。
現役世代は、将来給付される3倍以上の保険料を支払っているという試算もあり、今後はさらに負担だけが増えていくといわれています。子育て支援のために保険料を増やすことが、逆効果になるという指摘も。そうなると「何のための手取りの減少」なんか、分からなくなります。次世代のためにも、さらなる負担は避けられないことは理解しつつも、せめて効果を実感できる使い方をしてほしいものです。