サラリーマンの給与は上がっていないが、パート・アルバイトの時給は…
厚生労働省が公表した『毎月勤労統計(速報)』によると、今年4月の現金給与総額は28万5,176円と、前年比1.0%増となったものの、消費者物価指数(CPI)は前年比4.1%上昇となり、実質賃金は前年比3.0%低下。13ヵ月連続で減少となりました。企業の賃上げが物価上昇にまったく追いついていないことが、改めて浮き彫りになりました(図表1)。
いつまで物価高が続くのか、さまざまな専門家の意見がありますが、生鮮食品については、物価高が一巡し、落ち着いてくるだろうという見方が多い一方で、それ以外はコスト高分の価格転嫁がこれからも進むとされています。2023年後半からは落ち着くだろうとされていますが、まだ不透明な状態です。
しかし物価高が進んでも、進まなくても、給与そのものの「金額」が増えないことには、給与アップは実感できるものではありません。同調査でこの20年ほどの「現金給与総額(年平均)」をみてみると、2002年、一般労働者(以降、会社員)の現金給与総額は月41万3,752円。それが2022年では42万9,051円。2002年比4%のアップとなりました。リーマンショックの落ち込みがありますが、基本的に以降は上昇傾向。しかし「会社員の給与は、20年でたった4%だけ……」という事実に、少々複雑な気持ちになります(図表2)。
一方、会社員以外のパート・アルバイトの給与をみていくと、2002年の現金給与総額は月9万3,234円。それが2022年では10万2,078円。2002年比9%アップと、会社員と比べて高い伸びを見せています。20年の推移をみていくと、会社員のようにリーマンショック時の落ち込みが少なく、一貫して上昇傾向にあることが分かります(図表3)。
また労働時間に注目してみると、会社員の総労働時間は2002年168.1時間から2022年は162.3時間に減少。一方で、パート・アルバイトは95.1時間から79.6時間に減少。会社員は2002年比3%減に対して、パート・アルバイトは16%減となっています。
そして時給換算すると、会社員は2002年は2,461円だったのが、2022年は2,643円で、20年で7%の上昇。一方、パート・アルバイトは2002年に980円だったのが、2022年には1,282円で、20年で31%も上昇。その推移をみていくと、会社員はこの20年で、時給前年比割れが9度あったのに対し、パート・アルバイトの時給が前年比割れになったのは、2010年の1度だけでした。
――なんでバイトの時給ばかり上がるんだ
そんな嫉妬心を抱いてしまうサラリーマンも多いのではないでしょうか。