大企業と中小企業の「大きすぎる退職金格差」…しかも退職金額は年々減少の悲劇
企業規模により退職金制度の有無に差がありますが、金額自体にも大きな差が生じます。
まず大企業の平均退職金額をみていきましょう。
一般社団法人日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果』では、大学卒・総合職・60歳定年の場合で2,440.1万円。高卒・総合職・60歳定年で2,120.9万円。中央労働委員会『令和3年賃金事情等総合調査』では、大学卒・総合職・60歳定年で2,563.9万円、高卒・総合職・定年退職で1,971.2万円。調査によって異なるものの、大卒60歳定年で2,000万~2,500万円が相場といったところ。
次に中小企業の平均退職金額をみていきます。
東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)』によると、大卒60歳定年で1,091万8,000円。高卒60歳定年で983万2,000円。中小企業の退職金は大企業の半分以下の水準です。
さらに退職金額は年々減少している、というのが現実。10年前の調査をみてみると、大卒60歳定年で1,224万4,000円。高卒60歳定年で1,136万3,000円。10年で10~15%ほどもダウンしました。
もちろんこれは中小企業に限らず、大企業も同様。業績悪化や成果主義の導入などが影響しているといわれていますが、定年時に手にする退職金を頼りに入社以来、一筋に頑張ってきたようなサラリーマンにとっては、まさに晴天の霹靂。このまま退職金の減少が続けば、「会社のために頑張ってきたのに、たったこれだけ」と嘆くサラリーマンが増えていきそうです。
また退職金があることを前提にした資産形成は危ないと、多くの専門家は警鐘を鳴らします。退職金の減少はもちろんのこと、勤務先が破綻する可能性もゼロではありません。退職金頼みの資産形成では、ライフプランまでもが破綻してしまうワケです。
実際に手にする退職金額が「思ったよりも多い」「思ったよりも少ない」関わらず、退職金は頑張ってきた自分への臨時ボーナスくらいに考えておいたほうが身のためです。