「水回り」の軽視から生まれる、売れないワケあり物件

前回は、日本では「築年数」が物件の価値を大きく左右する理由を説明しました。今回は、物件の価値を維持するうえで軽視できない「水回り」について取り上げます。

目に見える「外観や内装」を整える理由

②設備の老朽化した物件

物件の築年数が経っているかどうかは、人でいえば年齢のようなものなので、ごまかすことはできません。物件広告を見ればすぐにわかります。しかし、物件広告だけではなかなかわからないのが、その物件の状態です。状態がよければ築年数が経っていても売れますし、逆に悪ければ築浅でも不人気物件となってしまいます。

 

実際に物件がどのような状態にあるのかは目で見てみれば一目瞭然です。同じ築10年といっても、状態がよいか悪いかで雲泥の差が出ます。会社で人を採用するときに、同じ年齢でも外見や経歴がまったく異なるのと一緒です。

 

物件の状態といって、すぐに思い浮かぶのは外観や内装です。外壁の塗装が剥げていたり、壁紙が煙草のヤニで汚れていたりするような家は、いかにも古そうな感じがしますし、目に見えない部分の経年劣化まで想像させてしまいます。

 

人間も、採用面接や商談に向かうときにはきれいに外見を整えていきますが、それと同じように不動産も、内覧の前には化粧(メイクアップ)をして、こざっぱりとした外観になるよう清掃する必要があります。お客様に自らを売り込むという意味では、どちらも同じことだからです。

 

もちろん、外見ばかりではなく、中身も重要です。すぐに目に見えるわけではありませんが、大切なポイントが水回りです。住宅において最も傷みやすく、劣化が激しいのが水回りの設備だからです。

使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい

水回りとは、トイレ、キッチン、風呂場、洗面所を指します。水を使う場所は汚れを落とす場所でもあるので、油汚れも多く、どうしても汚くなりがちです。

 

また、水は一見、無害に見えますが、木材や鉄骨などの建材を腐らせる作用を持ちます。住宅にとって一番の大敵は水気なのです。もちろん、水気はパイプや塗料などによって建材からは遠ざけられていますが、長年使っていると、知らず知らずのうちに水はねや水漏れが重なって、しみをつくり、経年劣化を進めるものです。

 

使い込まれた水回りは想像以上にみすぼらしい印象を見る人に与えます。水回りではありませんが、住宅と水の関係で最も注意しておきたいのが雨漏りです。雨漏りは、屋根や外壁のすき間から雨水が建物の内部に侵入することで起こります。水が入ってきたときに、中にいる人がすぐに気づけばよいのですが、なかなかそうはなりません。なぜなら、外壁と内壁との間には、天井裏などの空間があるからです。

 

さらに、そこに断熱材や防音材などが詰められているために、住宅内への雨水の侵入に気づけないのです。そのため、住人が室内への雨漏りに気づくころには、すでに天井裏にはかなりの水がたまっています。その水が天井にしみをつくり、柱を濡らし、ベニヤ板を波打たせてしまうのです。

 

雨漏りの厄介なところは、1回の修繕では完全に直せないところです。というのも、雨漏りは、前述のような理由ですぐに気づけないために、屋根や外壁のどこから雨水が入り込んでいるかの原因を特定することが難しく、直しても直りきらないことが多いからです。また、一部を直しても、他の箇所から雨が侵入することが多く、何度もの修繕を必要とします。

 

実際に、弊社の管理する物件では数カ月の間に、3回も雨漏りの苦情が出て、そのたびに工務店を手配しなければなりませんでした。住宅の水気は、建材の腐食ばかりでなく、シロアリを呼び込むこともあります。腐食もシロアリも、壁の裏側で進行するため、普通に生活していても気づかないことが多く、気づいたときにはもう手遅れになっていることが多いのです。

 

これらの経年劣化は、たとえ売り主が知らずに売却しても、売却後に発覚した場合、瑕疵担保責任として売り主の責任で修理する必要があるため、黙って売り抜けることはできません。また、知っている場合は修繕履歴を全て、新しい買い主に伝える義務があります。

 

ですから「ワケ」を隠すことは法律上も、道義的にもできないのです。それよりは、売却前に徹底的に検査と清掃をして、できるだけよい状態をお客様に見せるほうが、高額で売れる可能性が高まります。

株式会社アズ企画設計 代表取締役

東京都渋谷区に生まれる。実家は渋谷区神宮前で鰻屋を経営。 中央大学を卒業後、複数の不動産会社に勤務し、1993年にアズ企画設計を川口市に設立。 「空室のない元気な街を創る」を経営理念として、賃貸、売買、ビジネスホテルなどのビジネスを幅広く手がける。

著者紹介

連載売るに売れない「ワケあり物件」が生まれる理由

本連載は、2016年1月29日刊行の書籍『「ワケあり物件」超高値売却法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

「ワケあり物件」超高値売却法

「ワケあり物件」超高値売却法

松本 俊人

幻冬舎メディアコンサルティング

「駅から遠い、築年数が古い、ごみ収集所が近くにある――そんな物件を持つオーナーは、高値売却の方法について頭を悩ませているのではないでしょうか。本書では、どんな「ワケあり物件」であっても優良物件に変える巧みな「演…

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