(画像はイメージです/PIXTA)

人生の最期にお世話になるけれど、あまり知らない「葬儀」そして「葬儀会社」のこと。家族を納得できる葬儀で見送るはずが、「こんなはずでは…」と後悔する方も多いのです。大切な人とのお別れを、納得できるものとするために、知っておいてほしいことがあります。

「葬儀事業者」は3種類ある

葬儀を執り行う葬儀屋さん。じつは、おおまかに3つの種類があることをご存じですか?

 

1.「ネット仲介業者」…最近テレビCM等で見かけますが、実際の葬儀は別会社が施行します。

2.「冠婚葬祭互助会」…事前の積立金を結婚式・お葬式などの費用の一部にあてます。

3.「専業葬儀社」…葬儀の専門家でお葬式に関する全ての施行サービスを提供します。

 

じつは、葬儀業界で経営の透明性がある上場企業は日本に数社しかなく、最大手と言われているところでも、シェアは1%程度に過ぎません。それだけ中小企業や個人経営、フリーランスを含め、たくさん存在しているのです。

 

小さな業者やフリーランサーが乱立しているのは、葬祭業が許認可事業(免許制)ではなく、その気になれば誰でも参入できてしまう市場だというのが玉石混交する大きな理由です。

 

またそのせいで、葬儀のクオリティにはかなりのバラツキがあります。スタッフの教育体制が整っていない所に依頼してしまうと、満足できる葬儀が執り行えないケースもあります。

 

たとえば「ネット仲介業者」の場合、自社で葬儀を行うのではなく、別の会社に振る流れになります。

 

また、「冠婚葬祭互助会」では、積み立てを行う会員勧誘時に接した人と各種サービスを提供する人が変わってきます。

 

「専業葬儀社」は、葬儀に特化していて実際のお葬式全般のサポート・施行サービスを提供しています。こちらの一事からも「何かあった時の責任範囲や実際の対応面」を含めて葬儀の依頼先を選択することが重要なポイントになります。

 

許認可事業ではない玉石混交している葬儀業界だからこそ、安全・安心を得るためには慎重に葬儀業者を選ばなければなりません。

 

新聞記事にもありましたが、怖いことに葬儀業者を隠れみのに犯罪が行われたケースもあります。たとえば、参列者の芳名帳を「名簿会社」に売却する、葬儀のために留守にしている家に「空き巣」を働く、葬儀中やその後の「香典泥棒」などの被害は実際に起きています。

 

また、非日常的な葬儀に関することは事業者側と消費者側との情報格差が激しく、監督官庁の指導も入りにくいため、景品表示法に抵触するような乱暴な広告宣伝を行う葬儀事業者が後を絶ちません。インターネットで「葬儀 景品表示法」で検索し、出てくる情報も加味した上で事業者を選択しましょう。

 

このようなことから、葬儀業者選びは慎重に行うことが、とても重要なのです。

「納得できる葬儀」が、遺族の方の立ち直りをスムーズにする

しかし、これだけたくさんの葬儀業者があると、ご遺族の方が満足できる葬儀を執り行ってくれるところを見つけるのは非常に難しくなります。

 

しかも、亡くなった場所が病院だったりすると、葬儀業者を吟味する猶予がありません。やむを得ないことですが、病院としては一刻も早くご遺体をほかの場所に移して欲しいからです。

 

このように、限られた時間内で葬儀業者を決めなければならず、焦って選んだ結果「よくない葬儀業者」に当たってしまう恐れもあります。

 

こういった事態を防ぐには、ご自身やご家族が慌てることのないよう、万一のケースを想定して葬儀業者の心あたりを事前につけておくことが大切です。

 

「自分が亡くなったあとのことなど、まだ考えられない」

「亡くなってもいないのに不謹慎では…」

 

などと思われるかもしれませんが、葬儀において大切なのは、ご遺族の方々が故人に対し「よい葬儀で送り出すことができた」と納得・満足いただくこと。そのように感じることができて初めて、ご遺族の方々は新しい人生の一歩を踏み出す気持ちになるからです。

葬儀業者選び、明朗会計が重要なワケ

では、葬儀業者によってどのような特徴があるのかを見てみましょう。

 

◆ネット仲介業者

まず、最近よく目にするネット仲介業者ですが、ここは専門葬儀社のようにすべての葬儀を自社で執り行うのではなく、あくまでも「葬儀仲介サービス業者」という立ち位置です。業者の社員が葬儀の場に立ち会うこともなく、該当地域に対応するフリーランスを含む葬儀業者に仕事を振り、中間手数料を得る流れです。

 

この場合「仲介手数料の融通が利きやすい葬儀業者」をはじめ「案件毎で対応する葬儀事業者が異なる」ため、必然的に葬儀のクオリティの担保は難しくなり、サービス品質が低下しやすくなります。

 

しかも、ネットなどに表示している葬儀の値段を安価に見せているため、値ごろ感に流されてしまう人が後を絶たないわけですが、当然、人数・場所・宗教形式、あるいはご遺族の希望などによって金額が変わってくるので、ネットに表示されている料金以外にも追加料金が発生します。

 

また、価格表示が消費者を誤認させるとして「景品表示法違反」に問われるネット仲介業者もしばしばみられます。

 

◆冠婚葬祭互助会

会員になり毎月一定額の積立金を払い込むことで、一般価格より安い値段で葬儀などのサポートが受けられることを売りにしていますが、よくよく考えてみると、本当に安いかどうか判断できないケースもあります。

 

会員価格との比較対象として「一般価格」が提示され、それに対して「会員になるとこれだけ安いですよ!」と勧誘を受けるわけですが「では、一般価格とは?」という疑問が残ります。

 

互助会に「定価」が表示されていて、会員になるとこれだけ安くなると言うのであれば、まだ話は分かるのですが、一般価格という、元の基準がよく分からない価格に対し「会員価格が安い」といっても、ほとんど説得力がありません。また、会員施行が常態化して、一般価格で施行されている葬儀がほとんど皆無ならば、優遇感は薄れます

 

互助会の施設が近所にあって、使い勝手がよい場合には利用するメリットはあると思います。しかし、当該施設が遠方であったり、お付き合いなどで加入したりした場合、利用が見込めないのであれば、冠婚葬祭互助会を解約して積立金を現金化するなどを検討することも必要になります。

葬儀事業者を正しく理解し、納得のいく葬儀を

冠婚葬祭は「一生に一度きりなので金銭面で細かいことを言いたくない」という気持ちは分かります。しかし、クオリティに対して割高だったり、あるいは表示されていない追加料金がたくさんあって、気付いたら当初、提示されていた金額を大幅に上回ったりすると、納得のいかない葬儀になってしまいます。

 

だからこそ、葬儀事業者について正しく理解を深め、事前に複数の葬儀場・葬儀屋さんを調べ、明朗会計で信頼がおけるところを探す必要性があります。

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