一時期あらゆるメディアで盛んに報じられた「老後2,000万円問題」。1度は耳目に触れたことがあるのではないでしょうか。株式会社アセット・アドバンテージ代表取締役の山中伸枝ファイナンシャルプランナーのところにも「老後に2,000万円も必要なんですか?」と青い顔をして相談に訪れるシニアが後を絶たないといいます。 今回はそのなかの1人、53歳の藤田さん(仮名)の事例とともに、老後本当に必要な資金額やその考え方についてみていきましょう。
年金制度に憤慨する会社員男性…そのワケは?
「老後が不安」といいながら、年金制度についての正しい知識を持ち合わせていない方は多いものです。先日筆者の事務所に相談に訪れた斉藤様(仮名)も、そのひとりでした。
「日本の年金制度はひどいもんですよ。高い保険料を支払っても年金がもらえないかもしれないなんて……詐欺と同じですよ。今の高齢者は年金をもらえてラッキーですが、僕らの時代は支払い損。それで人生100年と言われても、いったいいくら貯めたらいいんでしょうかね?」
斉藤様は47歳、会社員です。若いときに一度結婚したそうですが、お子さんはおらず、元の奥様とも完全に縁が切れているそうです。山陰の小さな町で1人暮らしをするお母さんのことは、近所に住む兄夫婦がときどき訪ねては様子を見ているようですが、まだまだお元気とのこと。
斉藤様は情報収集を怠らないタイプで、勉強家です。相談においでになる前に、相当いろいろな本や動画サイトなども見てきています。聞けば、「知れば知るほど年金制度は当てにならない」という思いが強くなったというのです。
年金制度の誤解1.「年金制度はいずれ崩壊する」
まずおっしゃるのが、「少子高齢化で支え手が少なくなる一方なのだから、年金制度はいずれ崩壊する」ということ。日本の年金制度は「賦課方式」ですから、たしかに現役世代の保険料がそのまま高齢者の年金支払いに充てられます。
少子化により若い方が少なくなれば年金の財源である保険料が減り、反対に高齢化で年金を受給する方がどんどん増えるので、「釣り合いが取れない」といわれるとたしかに説得力があります。
「昔の年金制度は多くの若者で高齢者を支える『御神輿型』、それが少子高齢化により『騎馬戦型』になり、近い将来『肩車型』になる」というのは、メディアなどでもよく取り上げられることです。
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株式会社アセット・アドバンテージ
代表取締役
1993年、米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業後、メーカーに勤務し、人事、経理、海外業務を担当。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーを目指す。
2002年にファイナンシャルプランナーの初級資格AFPを、2004年に同国際資格であるCFP資格を取得した後、どこの金融機関にも属さない、中立公正な独立系FPとしての活動を開始。金融機関や企業からの講演依頼の他、マネーコラムの執筆や書籍の執筆も多数。
個人相談も多く手がけ、年金、ライフプラン、資産運用を特に強みとしており、具体的なソリューション提供をモットーとする。
著書に、『「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)、『ど素人が始めるiDeCoの本』(翔泳社)、『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東京経済新報社)、『会社も従業員もトクをする! 中小企業のための「企業型DC・iDeCo+」のはじめ方』(同文舘出版)などがある。
●確定拠出年金の相談ができる全国のFPネットワーク
「FP相談ねっと」代表
https://fpsdn.net/
●公的保険のプロアドバイザーを育成する
「一般社団法人 公的保険アドバイザー協会」理事
https://siaa.or.jp/
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