運転資金「6,700万円」を調達したい…赤字寸前の会社を救う「事業用不動産担保ローン」の活用法【弁護士が解説】

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柿沼 彰
運転資金「6,700万円」を調達したい…赤字寸前の会社を救う「事業用不動産担保ローン」の活用法【弁護士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

事務所の賃料や光熱費、材料費、仕入れに関する費用など、業種に関わらず会社を運営するにあたって必要になる「運転資金」。どのような会社でも、この運転資金の調達は悩みのタネです。すでに銀行などから借入れを行っている場合、調達方法に苦戦し企業が窮地に追い込まれてしまうことも……。今回は、企業法務に詳しい柿沼彰弁護士がB社の事例とともに、運転資金調達にも活用できる「事業用不動産担保ローン」について解説します。

運転資金が不足…ノンバンクで融資を依頼したAさん

(※画像はイメージです/PIXTA)
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【B社の基本情報】

・資本金……1億円

・従業員数……130名

・売上高……140億円

 

45歳のAさんは、不動産販売業を営むB社で財務担当を務めています。B社は、中古の不動産を仕入れてリフォームし、付加価値をつけて販売するという、いわゆる「買取再販業」を営んでいます。

 

しかし、不動産がなかなか売れず、多数の販売用不動産を抱えてしまい、運転資金に不安が生じるようになりました。そこでAさんは、B社の社長から「必要な運転資金を調達するように」と指示を受けました。

 

B社には、すでに銀行からの借入れがあるため、Aさんは、クレジットカード会社や信販会社といったノンバンクから運転資金の借入れをしようと考えました。Aさんの計算では、運転資金として6,700万円を用意できれば当面B社は事業を継続でき、そのあいだに不動産が売れれば、借入金の返済も可能です。

 

“1,000万円までしか貸せません”…予想外の回答でAさんは窮地に

Aさんは、さっそく複数のノンバンクに融資を依頼しました。しかし、いずれも「1,000万円程度までしか融資できない」という回答でした。なかには、「社長の自宅を担保にすれば、多額の融資が可能」というノンバンクもありましたが、Aさんの立場でその条件を飲むことはできません。

 

Aさんがなかなか運転資金を調達できずにいるあいだも、B社ではさまざまな費用が発生し続けます。なかなか売れずにいる販売用不動産を大幅に値下げして現金化する方法も考えたのですが、社長が許してくれません。Aさんにとって、頭の痛い日々が続きました。

「販売用不動産を担保に」でまとまった融資が叶った

(※画像はイメージです/PIXTA)
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運転資金の借入れが難しいのは、貸し手にとって「回収が期待しづらい」からです。運転資金が不足するのは会社になんらかの問題がある場合がほとんどで、B社の場合も、仕入れと販売のバランスが崩れてしまい、多数の販売用不動産を抱えてしまったことが原因にあります。

 

しかし、財務担当であるAさんから見て、B社の状況は決して悪くありません。抱えている販売用不動産はいずれも、B社が売れると信じている魅力的な物件であり、これらが売れさえすれば、運転資金の解消は直ちに解消します。多数の販売用不動産があるということは、会社には豊富な資産があるということでもあります。

 

Aさんは、なんとかB社の魅力をノンバンクに伝えることで、運転資金の融資を受けることができないか考えました。そしてふと、一度は断った、あるノンバンクの「社長の自宅を担保にすれば、多額の融資が可能」という言葉を思い出したのです。

 

「販売用不動産を担保にすれば運転資金の融資を受けられる」と考えたAさんは、「事業用不動産担保ローン」を取り扱っているノンバンクに融資を依頼しました。担保とするのは、B社が1億円以上で売れるだろうと自信を持って仕入れた都内マンションの1室です。

 

すると、手続きに時間はかかったものの、拍子抜けするほど簡単に、必要となる6,700万円の融資を受けることができました。貸し手にとっても、売却の可能性がある不動産を担保に取ることができれば、貸付金の回収が期待できます。そして、ノンバンクから見ても、B社が担保としたマンションは魅力的で、B社が期待する価格帯での売却が可能なものだったのです。

 

その後、B社では、これまでの不振が嘘のように次々と不動産が売れ始めました。そのおかげで無事、その売却代金から、借り入れた運転資金の返済をすることができました。 一度は運転資金捻出のために不動産を大幅に値下げして販売することも考えていましたが、最終的にWin-Winの結果となり、B社の社長もAさんを高く評価してくれました。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。