サラリーマンのAさんは、係長への昇進を機に憧れだったマイホームを40歳で購入しました。余裕を持って組んだ毎月の返済額に安心していたAさんでしたが、70歳で恐ろしい事態に……。本記事では、Aさんの事例とともに、住宅ローンの返済計画についてFP1級の川淵ゆかり氏が解説します。
月収40万円のサラリーマン、40歳で係長昇進!「夢のマイホーム」購入も…70歳で頭を抱える驚愕の「住宅ローン残債額」【FPが解説】  (※写真はイメージです/PIXTA)

返済期間が長いほどオーバーローンのリスクも上がる

(※写真はイメージです/PIXTA)
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返済期間が長くなると、オーバーローンの問題も出てきます。オーバーローンとは、ローンの借入残高が不動産の価値を上回る状態のことをいい、売却してもローンが残ってしまうことをいいます。たとえば、「ローンが払えなくなった」「売却して老人ホームに入ろう」といった場合、不動産の売却で住宅ローンを清算しようとしても清算できずに、ローンが残ってしまうケースです。

 

日本はこれから加速度的に人口が減っていきます。それに伴い地方などの不動産価値は下がってくると思われます。オーバーローンのことも考えて住宅ローンは借りる際も十分注意しなければいけません。

 

Aさんの場合、70歳のとき(返済開始から30年後)にどれだけ住宅ローンが残るかを返済期間別にみていきましょう。

 

・25年ローン:住宅ローン残額0円

・30年ローン:住宅ローン残額0円

・35年ローン:住宅ローン残額4,613,665円

・40年ローン:住宅ローン残額8,071,393円

 

この金額にはAさんも頭を抱えてしまいました。「なんとか払っていけるだろう、と思っていた住宅ローンでしたが、70歳の時点で800万円以上も負債を抱えているとは!」

 

さらに、賃貸と違って持ち家はメンテナンスにお金がかかります。30年のあいだには水回りや屋根・外壁などにまとまった費用が必要です。こういった費用も繰り上げ返済や退職金での住宅ローンの一括返済ができない理由の1つとなっています。

金利が上昇した場合をシミュレーションすると…

(※写真はイメージです/PIXTA)
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Aさんが住宅ローンを借りるときにはさほど気にならなかった金利の上昇ですが、その後の日銀総裁の交代や新型コロナの対応で大幅に増発された国債のことを考えると、このままずっとこの超低金利が続いていける、と考えるのは非常に不安です。変動金利型ローンを借りる際は、金利上昇リスクにどれだけ対応できるかがカギとなります。

 

借入期間が短い、借入金額が小さい、返済額がアップしても家計に余裕がある、といったケースであれば対応もできるでしょうが、そうでなければ、もし金利が上昇した場合は変動金利のリスクが家計を直撃します。

 

ちなみに、Aさんのように3,000万円(年0.5%)の住宅ローンの金利が10年後に上昇したときの返済額を計算してみましょう。

 

・10年後 0.5%→1.0%:毎月の返済額74,146円

・10年後 0.5%→1.5%:毎月の返済額79,559円

・10年後 0.5%→2.0%:毎月の返済額85,207円

 

以上のように返済額は上がってきます。

 

※変動金利型ローンは「5年ルール」により、金利が上昇してもすぐに返済額は上がりませんが、再度金利が下がらない限り、その分将来の負担が増えることになります。変動金利型ローンを借りているご家庭は、「返済額がいくらまでなら上がってもローンの負担に耐えられるか」を一度考えてみましょう。