生活保護は申請を受理してもらうまでのハードルが高くなっています。その背景には、生活保護の相談に訪れる人に申請自体の断念を促す行政の「水際作戦」があるといいます。10,000件以上の生活保護申請サポートを行ってきた特定行政書士の三木ひとみ氏が、著書『わたし生活保護を受けられますかー全国10,000件申請サポートの特定行政書士が事例で解説 申請から決定まで』(ペンコム)から実例をもとに解説します。
「生活保護の要件はすべて満たしているのに」…福祉事務所に相談する人の「6割以上」が申請“すら”させてもらえないワケ【特定行政書士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「生活保護の水際作戦」という言葉が指す職員の対応

◆生活が困窮しているにもかかわらず、そもそも申請自体をさせてもらえていない

実際に申請をする前の段階でいかにも、

 

「生活保護を受けるのは無理なんだ」

 

「生活保護を受けるためにはたくさんのハードルがあるから今は無理」

 

と本人あるいは家族が受け止めてしまうような説明をしたり、単に対応した職員が若さや経験不足から来る不十分な説明しかできないために、相談者にきちんと必要かつ正確な内容が伝わらなかったりと、そのことによって自分たちのケースでは今は生活保護は無理だと相談者が思い込んで、断念してしまっているケースも多々あります。

 

世間でよく言われる“生活保護の水際作戦”とは、このあたりのことを指します。

 

すべての福祉事務所がこういった対応をしているわけではありません。

 

当事務所では全国の都道府県の福祉事務所と平日は毎日のように連絡をとっていますが、親身になって本当に申請者に寄り添ってくれるケースワーカー、職員も大勢います。

 

もちろん、生活保護の受給要件や基準を満たしていなくて、生活保護申請に進めない場合もあります。

 

申請書類をたくさん書いて、福祉事務所も時間をかけて調査をして、その結果、1カ月後に却下通知が来るということでは行政にとっても、相談者にとっても、無駄なことになってしまいます。

申請率が低い背景「水際作戦」とは

生活保護を申請したいと思って福祉事務所を訪れた人が申請を諦めて帰ってきてしまう、不親切な福祉事務所の窓口対応、いわゆる「水際作戦」。

 

実は私は行政書士になってから、生活保護決定した方からいただいたお手紙でこの言葉を知りました。

 

https://seiho-navi.net/info/koe3/ より)

 

この度はありがとうございました。私は両親が亡くなり、その後に起こったさまざまな精神的苦痛により、人が怖くなり、働くことができず、貯金を切り崩して生きてきました。

 

しかしながら、そのような生活も限界が来てしまい、市役所に相談に行ったのですが、「若いからまだ働けるでしょう」と言われてしまい、私が「人が怖いんです」と今の精神状態を言ったのですが、対応職員の態度や対応は悪く、生活保護を受けることができませんでした。

 

途方にくれていたときに、三木先生に出会うことができました。

 

三木先生に出会ってからは職員の態度も変わり、水際作戦を取られることもなく、スムーズに申請することができました。その申請もスムーズに通りました。また、三木先生はいつでも相談に乗ってくださり、アドバイスもくださいました。

 

そのことにより精神的に本当に楽になり、安心して生活をすることが可能になりました。感謝してもしきれないほどです。本当にありがとうございました。