老後生活の基盤となる公的年金。日本人であれば国民年金には強制加入で、原則65歳から納付した保険料に合わせて年金が支給されます。しかし、この日本には「年金支給額ゼロ円」という人も。みていきましょう。
平均月14万円だが「罰が当たったのね…」70代女性「年金ゼロ円」の悲惨…これから訪れる「無年金時代」に備える方法 (※写真はイメージです/PIXTA)

年金が1円ももらえません…「無年金」への不安広がる

昭和36年4月~昭和61年3月までは、国民年金への加入は任意だったので、いまの高齢者には無年金の人が多いといわれています。対策も功を奏し、無年金の人は徐々に減少傾向にあるとされていますが、いまの現役世代には別の問題があります。

 

2023年度の年金額、6月に支給される分からは、増額になることが大きく報じられました。一方で、物価高の影響などを加味すると、実質的な年金の価値は減額となるとも報じられました。この「年金額は増額、でも実質的には減額」というパターンは今後も続きそうという見方も。

 

また年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合かを示す「所得代替率」は、2040年代に2割減となる予測も。単純に、現在の年金水準よりも2割、減額となることを覚悟しておかなければならないということです。

 

極端な論者の中には「将来、年金は1円ももらえなくなる」という声も。「そんなこと、あるわけない」と思いつつも、少子高齢化が想定よりも早く進んでいるという現状から、「無年金の時代が来るかもしれない」という不安が広がっています。

 

無年金への対応① 高齢者の場合

年金も蓄えもない……時すでに遅しの高齢者の場合、できることは大きく3つ。健康であれば「働いて収入を得ること」。厚生年金に加入できれば、その分、年金を手にする可能性も高まります。「生活保護を受ける」ことも選択肢のひとつ。もちろん受給条件を満たしていることが必要ですが、承認されれば、最低生活費と収入の差額分の支給が期待できます。そして「家族に頼る」ことも有効策。子どもが親と同居し、親を扶養する場合、その子どもは扶養控除が受けられるというメリットもあります。

 

無年金への対応②現役世代の場合

「無年金」に備えるなら、時間を味方にして、資産形成を進めるのが最善の方法。幸いにして、資産形成に関しての制度は年々充実するばかり。長期的にライフプランを考えるなら、つみたてNISAやiDeCoなどを活用するのも手。もちろん投資である以上、元本割れのリスクもあることを留意しなければなりません。

 

総務省『家計調査 家計収支編(2022年)』によると、65歳男性単身者の1ヵ月の消費支出は、14.8万円。単純計算、80歳まで年金に頼らず生きるには2,800万円ほどの貯蓄があればなんとか暮らしていけるという予測が立てられます。85歳までなら3,700万円、90歳なら4,600万円、100歳なら6,400万円……(関連記事:『【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額』)。年金に頼らず生きていけるだけの資産形成ができれば、不安定な世の中でも「老後の安泰」は約束されます。