国民年金は強制加入だが…年金ゼロ円の高齢者の現実
――181円のおにぎりを万引きして85歳の男性が逮捕
全国では流れない東北地方での出来事は、ネット上で結構な議論が交わされた模様。「無年金だったのだろうか……」などと憐れむ声も多数あがりました。
また、ある街頭インタビューでは「年金? ゼロ円よ。自由に生きてきたから、その罰ね」と話をする70代女性。年金が1円も支給されていない……なんとも悲惨な暮らしぶりが想像されますが、無年金者、実はこの日本に意外と多くいます。
「日本人なら国民年金に強制加入だから、そんな人、いないんじゃない」と思うかもしれませんが、厚生労働省の調査では、その数、50万人以上。65歳以上人口が3,600万人といわれていますから、「無年金率」は1.3%ほど。高齢者の100人に1人は、年金を1円ももらっていない……これが現実です。
【年齢別「年金収入なし」の人数】
65~69歳:26,108人
70~74歳:29,993人
75~79歳:153,699人
80~84歳:125,911人
85~89歳:93,784人
90~94歳:55,914人
95~99歳:30,132人
100歳~:6,262人
出所:厚生労働省『令和3年度 後期高齢者医療制度被保険者実態調査』より
厚生労働省によると、厚生年金受給者の平均年金額は14万5,665円。国民年金受給者は平均5万6,479円。これが老後の生活資金の基盤となりますが、それがゼロとなると……蓄えがたっぷりとある富裕層であれば別ですが、一般庶民の場合、どのように生活しているのか疑問が募るばかり。
前述のとおり、 日本国内に居住している20歳以上60歳未満は、国民年金に加入しなければなりません。しかし、年金保険料の払込期間が短いと、国民年金を受給することはできません。その期間というのが10年=120ヵ月。そうなってしまった理由として考えられるのが、大きく「困窮のため保険料が払えなかった」「海外生活が長く、保険料を払う機会がなかった」「そもそも保険料を払う意思がなかった」の3点。60歳を超えた場合でも、60~70歳までは国民年金に任意加入することができます。もし払込期間が足りないことが分かったら、利用するのも手です。