収支はギリギリ、破産の危機……こうした状況の高所得者は意外にも多いものです。一体なにが原因なのでしょうか? 本記事では、CFPの伊藤貴徳氏のもとへ相談に来た年収1,500万円のAさんの事例とともに、賢い家計管理方法について解説します。
年収1,500万円・47歳エリート会社員、家計を洗いざらい晒して衝撃…貯蓄額“たったの200万円”「これでは老後破産確定」【CFPの助言】 (※写真はイメージです/PIXTA)

まずは家計を知ることから

1ヵ月の出費を洗いざらい出してみると、気付かぬところに隠れた出費があったりします。 食費・日用品・交際費などの変動費や、携帯・住宅ローン・保険料などの固定費の他に、無意識に使ってしまっている不定期支出にも注意しておくべきです。

 

Aさんご夫婦のように、これまで家計について把握していなかったご家族でも、収入と支出を洗いざらい出してみるという行動によって、家計に意識を向けるきっかけとなり、自然と家族で話し合うことで、結果として家計が改善の方向へ向かうことはよくあります。

 

Aさんご夫婦も

 

「この交際費はかけすぎだな」

「こんなに把握できていない出費があったなんて……」

 

と、ご家族で真剣に家計について話されているお姿が印象的でした。

 

高収入だから安心ではなく、家計管理が不十分だと生活は厳しくなることはあります。Aさんの場合、教育費や変動費が家計を圧迫しており、結果として貯蓄ができていない状態となっていました。

 

まずは収支のバランスを把握しましょう。収支を洗いざらい出すことで、改善への気付きを得るきっかけとなることがあります。また、企業型確定拠出年金のように、ご自身が活用できる制度を見直したり、収入を増やすためにパートナーの協力を得たりするという対策も選択肢の1つです。

 

Aさんご家族は、変動費の抑制、企業型確定拠出年金の組入商品の見直し、将来の退職金の有効活用、無理のない範囲での奥様のパート勤務等で、大幅な収支バランスの改善が見込めるようになりました。

 

家計管理は単に現在の生活を円滑にするだけでなく、将来への備えにもつながります。一見、難しく感じるかもしれませんが、一歩一歩進めていけば、きっといい結果が得られるでしょう。Aさんの事例を通じて、自身の家計を見直すきっかけとしましょう。

 

参考文献

文部科学省:令和3年度における幼稚園3歳から高等学校第3学年までの学習費総額、2ページ目

一般社団法人 投資信託協会

 

 

伊藤 貴徳

伊藤FPオフィス

代表