新卒で就職したものの、3割は3年以内に辞める……今も昔も変わらないようです。なかには「もう何にも縛られたくない!」と、自由気ままな生活を謳歌する人も。しかし、いつまでも気楽にはいられないようです。みていきましょう。
同期は「月収43万円」だが「給与が安くて震える。」40代目前で焦燥感、39歳・非正規の「手取り額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

非正規ライフ満喫の39歳がいまさら焦る理由

いろいろ思うところがあって、新卒1ヵ月を待たずに辞めた男性に激励の言葉が並ぶなか「早めの軌道修正を」とアドバイスの書き込みをしたのは39歳で非正規だという男性。大学卒業後、大企業に就職したものの「希望した職種ではなかった」と半年で退職。それ以来、非正規として働き、気づけば、40歳になろうとしているといいます。

 

――給与が安くて震える。

 

そういう給与は手取りで月20万円程度。月によっては下回ることも多いとか。気楽な1人暮らしのため、生活に困ることはないといいますが、同期入社の元同僚の給与と比べて、「少しの我慢があれば……」と新卒1年を待たずに辞めたことを、最近になって後悔しているといいます。

 

大卒後に就職した企業はいまや日本を代表するIT関連企業だという男性。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、男性の同期の給与は、月43.2万円(所定内給与額)。賞与も含めた年収は762.8万円。40代になると平均、月収49.7万円、年収869.3万円となり、50代に入ると年収1,000万円に迫ると考えられます。

 

前出の厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査』によると「フリーターの正社員採用があった」という会社は59.7%で、「実際に採用した」という会社は18.5%でした。さらに「15〜34歳」を採用したのが10.0%に対し、「35〜44歳」は2.1%、「15〜34歳/35〜44歳両方」が6.4%。年齢が若いほうが正社員への道は開かれている、逆をいえば、年を取ればとるほど、リカバリーは難しくなるといえるでしょう。

 

非正規はどうしてもキャリアで劣り、可能性での採用と考えれば、若年層のほうが有利なのは至極当たり前のこと。それを身をもって感じるようになったのでしょう。「そろそろ、ラストチャンスだと考えている」と男性。これまで気楽に暮らしてきたものの、最近、スーツを着て就職活動に躍起になっているのだとか。

 

もし、このまま非正規として60歳まで働いたとしたら……平均的な給与を手にしていた場合、65歳から手にする年金はおよそ12.4万円。40歳で正社員になれたとして平均的な給与を手にした場合は、月15.3万円。仮に大卒正社員と同じ給与を手にできたとしたら、月16.5万円となります。

 

ずっと正社員としてキャリアを歩んでいく「大卒の平均的なサラリーマン」が手にする年金は月17.7万円。20年弱の非正規社員として歩んだ末の年金格差は、まだまだリカバリーが可能です。