悲劇は「がんが“自分ごと”でないこと」で起きる
筆者はこれまで1万回以上の保険相談会に携わってまいりましたが、そのなかでがん保険についての相談も数多く受けてきました。
相談に来る方のなかには、がん保険に対して「しょせん保険だから……」「がん保険はお守りだし……」という発言をされる方がいらっしゃいます。“保険は加入していても実際には使うことがない(=ムダ)”というニュアンスで発言されている方が多い印象でした。
たしかにがん保険は加入をしても、実際にその恩恵を受けることは少ないかもしれません。しかし、「しょせん受け取ることはないけれど、とりあえず・なんとなく保険に入っておく」というスタンスは実は怖いものであると、筆者は考えています。
時間の経過でがん保険が“お金だけ払わされているもの”に…
山岡さんががん保険に入ろうと思った当時は、「同年代の芸能人が乳がんになってしまった」という事例があり、一定程度「がんが怖い」という思いがありました。契約時も重要事項の説明において失効について説明を受け、その時点では注意しようという意識があったはずです。
ところが時間の経過とともにがんのことを考える機会もなくなり、特段体調が悪くなることもなかった山岡さんは、がんが“自分ごと”ではなくなっていきました。そこからがんの宣告を受けるまで、「がん保険が大切なものである」という感覚はなくなっていたと考えられます。
今回の事例においては、保険会社から届く郵便物を届いたときに確認していれば、ここまで深刻な事態を招くことはなかったはずです。しかし、がん保険が“ただお金だけ払わされているもの”である感覚になり、まさかこれほど大切な連絡事項があるとは思わなかったために、保険会社から届いた封筒の封を開けることもなく放置してしまった可能性があります。
がん保険は「本当に必要なときには入れない」もの
以前筆者が接客したお客様のなかに、こんな方がいらっしゃいました。60代前半のご夫婦とみられる方で、筆者がいる店舗にふらっと立ち寄られました。ご用件を伺うと
「35歳の娘が最近乳がんの宣告を受けてしまったんです。だからがん保険を探してあげたいと思っているのですが……」
とのこと。お気持ちはとてもよくわかりますが、残念ながら娘さんががんになってしまったあとでは、がん保険に加入することは原則叶いません。山岡さんも、がん保険の復活をしたくともすでにがん診断を受けてしまったあとだったため、それが叶いませんでした。
世の中の物やサービスは、お金を支払ったあとで手に入れられることが多いでしょう。しかし、がん保険に関しては、いくらお金を積んでも決して加入できない場合があります。