山岡さんが「最悪の事態」に陥ったワケ
今回山岡さんは、がんの宣告を受けこれからがん保険を使おうというときに「契約が失効している」という、驚きの事実を知りました。とても辛い出来事ですが、どうしてこのようなことが起こってしまったのでしょうか。
実は、がん保険の契約前に必ず説明を受けて理解すべき重要事項のなかに「保険契約の失効」という項目があります。
がん保険の契約者(本事例における山岡さん)は、保険契約を維持していくために、必要な費用(保険料)の払い込みが必要になります。通常は銀行口座からの引落しやクレジットカードでの決済によって行われますが、その払込には当然期限があります。
万が一その期限内に払込ができなかった場合にも、一般的には一定の「猶予期間」が設けられており、約1~2ヵ月の期限内に支払がされれば、契約が維持されるようになっています。
ただし、その猶予期間を過ぎてしまうと、がん保険契約は自動的に効力を失います。いわゆる“失効”状態となり、いままでの保障がすべて消滅してしまうのです。
山岡さんの事例では
・2月中が本来の支払期限
・3月1日~4月1日までが猶予期間
となっていましたが、2月と3月にクレジット決済ができず、さらに4月1日までに山岡さんから保険会社の口座に入金がなかったために、それをもって山岡さんのがん保険契約は失効ということになりました。
がん保険契約の「復活」は不可能なのか?
しかし、がん保険契約が失効してしまった場合でも、実は「復活」という、失効した契約を元通りにする手続きが存在するのが一般的です。これは失効の時点から1年以内や2年以内など期限が設けられていますが、その期限内であれば一定の条件のもと復活をすることが可能です。
山岡さんも、コールセンターのオペレーターからこの「復活」について説明を受けましたが、今回の山岡さんのケースにおいては、復活手続きはかなり困難である旨が伝えられていました。いったいなぜなのでしょうか。
がん保険契約「復活」の条件
一般的に、がん保険契約の復活をするためには2つの条件をクリアする必要があります。それは
・復活手続きの診査に通ること
の2つです。
今回、山岡さんは2つ目の「復活手続きの診査に通ること」がネックになりました。
がん保険の診査は、多くの場合「告知書」といわれる書類でその時点と過去の健康状態などに関する質問事項に回答(申告)し、その内容にもとづき、保険会社ががん保険契約を結べるかどうか判定するという形で行われます。
大半の場合、その「質問事項」のなかには「いままでにがんの診断を受けたことがありますか?」という項目があるのですが、この質問に対する回答が「はい」である場合、原則としてがん保険の加入は難しくなってしまいます。山岡さんががん保険復活の手続きを行おうとしても、つい最近がんの宣告を受けたためにこの質問事項に該当するため、復活という選択も取ることができないのです。
しかし、約5年前、山岡さんが近所の来店型保険ショップでがん保険の申込手続きをする際、書類にサインする前にこの説明は聞いていたはずです。