多くの方が加入している「がん保険」。しかし、がん保険は管理を適切に行わないと、いざがんに罹患した際に恐ろしい事態を招く可能性があると、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏はいいます。本記事では、山岡さん(仮名・42歳)の事例とともに、がん保険の注意点について解説します。
「給付金230万円」がパーに…月収35万円・子宮頸がん罹患の42歳女性を襲った「悲劇に次ぐ悲劇」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

“保険料未払いのため、契約は自動的に終了しました”

「えっ、失効ってどういうこと?」

 

山岡さんは言われたことの意味がわからず、オペレーターに詳細を尋ねました。すると、「4月1日が支払期限の保険料が未払いだったため、がん保険の契約は自動的に終了になった」といいます。

 

お金(保険料)は年に1回クレジットカードで自動的に決済されるため、未払いということはないはずです。山岡さんはそのようにオペレーターへ伝えましたが、「クレジットカード会社に保険料の金額を請求したところ、決済できなかった」という返答です。

 

さらに、「詳細はクレジットカード会社のほうに問い合わせてほしい」「保険料が未納である旨とその後の必要な対応については、3月のはじめに郵送している」と言われてしまいました。

 

郵送物を確認していなかった自分を恥じながら、山岡さんは一度電話を切り、クレジットカード会社へ連絡しました。なぜ保険会社の請求が決済されなかったのか聞いてみると、2月と3月に保険会社から請求があったものの、いずれも利用限度額を超える請求であったため、決済不能であったことが判明しました。

 

思い起こしてみると、2月はエアコンが故障してしまい、急遽買い替えに。また、車検の際修理費がかさみ、高額になっていました。また、3月は母の古希のお祝いということで、両親と妹家族で少し贅沢に北海道旅行へ。その際、「ポイントがたくさん貯まる」という理由から、費用の大半を山岡さんのクレジットカードで決済していたのです。2月と3月はこのように、いつもはしない高額な出費が続いていました。

 

リビングに戻り、溜まって放置状態だった郵便物のなかから先ほどオペレーターに言われた郵送物を探してみました。すると、保険会社からの『重要なお知らせ』と印字された未開封の封筒を2つ発見。おそるおそる書類に目を通してみました。

 

1通目には

 

・2月に決済不能だったため、3月に再度クレジットカード決済を行うこと

・それが不能であった場合には、山岡さんから4月1日までに払込みが必要であること

・それがない場合、がん保険契約が失効になること

 

2通目には

 

・4月1日までに入金が確認できなかったため、2月1日付で契約が失効したこと

 

が記載されていました。

 

これからがんの治療が始まりお金がかかるにもかかわらず、もらえるはずだった230万円が自分の不注意でなくなってしまった……。山岡さんは、深く落胆してしまいました。