多くの方が加入している「がん保険」。しかし、がん保険は管理を適切に行わないと、いざがんに罹患した際に恐ろしい事態を招く可能性があると、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏はいいます。本記事では、山岡さん(仮名・42歳)の事例とともに、がん保険の注意点について解説します。
「給付金230万円」がパーに…月収35万円・子宮頸がん罹患の42歳女性を襲った「悲劇に次ぐ悲劇」【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

健康に無頓着だった42歳女性…ある日「がん」が発覚

月収35万円で建設会社の事務職として働いている、埼玉県さいたま市在住の山岡真澄さん(仮名・42歳)。

 

山岡さんは約2ヵ月前、妹と一緒に初めて子宮頸がん検診を受けました。子宮頸がん検診は、20歳以降2年に1回受診することを国が推奨するがん検診のひとつですが、山岡さんはこれまで1度も受けたことがありませんでした。

 

どちらかというとおおらかで細かいことを気にしない性格の山岡さんは、これまであまりがんや自身の健康について気にしていませんでした。一方、外資系投資会社でバリバリ働く2つ年下の妹は、「健康管理も仕事のうち」と、毎日ジムに通って体を鍛え、健康診断やがん検診を通じて心身の管理をしっかりと行っています。

 

姉ががん検診を全然受けていないことを知った妹は山岡さんを説得し、一緒に子宮頸がん検診を受けることになったのです。

 

後日、検査結果と思われる郵便物が届いたものの、あまり気にせず未開封のまま放置していた山岡さん。メールで妹から結果を問われ、ようやく内容を確認してみました。

 

すると、そこには「要精密検査」の文字が。

 

メールでそのことを伝えると、妹から電話がかかってきました。すぐに予約を取ることを勧められ、妹に紹介された大きな病院で精密検査を受診。そして検査から10日後、妹に付き添ってもらい検査結果を聞きに行ったのですが、そこで山岡さんに子宮頸がんがあることが発覚しました。

 

がんの告知を受けた山岡さんは頭が真っ白になり、主治医の話もほとんど覚えていないくらい動揺してしまいました。しかし、妹がそばにいてくれたことや、その後両親も寄り添ってくれたことで、少しずつ事態を受け止められるようになってきました。

 

給付金230万円を受け取れるはずが…保険会社の「まさかの回答」に絶句

その後、妹から保険の加入状況を尋ねられ、がん保険に加入していたことを思い出した山岡さん。妹と一緒に契約書を確認してみると、以下のような内容になっていました。

 

・がんの診断を受けたら200万円

・がんで入院したら1日1万円

・がんの三大治療(手術・放射線・抗がん剤)を受けたら20万円

・がんで通院したら1回1万円


このがん保険は5年ほど前、同年代の芸能人が乳がんで話題になったことから、なんとなく怖くなって最寄り駅近くの来店型保険ショップで相談し、加入したものです。山岡さんより少し若い女性スタッフに勧められるがまま、上記のがん保険を契約しました。

 

約1週間後に入院し、手術を受ける予定の山岡さん。概算でも、約230万円の金額を受け取れる計算です。妹とがん保険に加入していたことを喜び、「ひとまずお金の心配はしなくてよい」と安堵しました。

 

「入院する前に、がん保険の請求書類を取り寄せておいたほうがいいよ」と妹から言われてた山岡さんは、次の日保険会社のコールセンターに電話しました。しかし、そこでまさかの回答があったのです。

 

「2月1日付で山岡様のがん保険契約は失効していますので、今回の請求に関しては対象外となります」