新築マンションの価格は高騰を続け、さらに金利は上昇するのか、しないのか……マイホーム実現に向けてのハードルは高くなるばかり。そのようななか、すでに住宅ローンを利用している人たちのもとには「うちのほうが金利いいですよ」と借り換えの提案が増えているといいます。しかし、その気になって申し込んだものの、驚きの結末に狼狽える人たちも。みていきましょう。
「審査に落ちた、悲しい…」月収51万円・大手IT企業勤務・53歳のサラリーマン「住宅ローンの借り換え」意外な盲点 (※写真はイメージです/PIXTA)

銀行「返済負担が軽くなりますよ」…ローンの借り換えを申し込んだが

さらに昨今は金利上昇が騒がれはじめ、気が気でない、という人も多いでしょう。前出の例では、金利が0.1%あがれば、月々の支払いは2,500円ほどプラスに、0.5%増えれば月々1.2万円ほどのプラス、1%増えれば月々2.5万円ほどのプラスとなります。そうなると、あっという間にローン破綻となってしまいます。

 

そのように、金利に動きがあると、銀行から「住宅ローン、借り換えませんか? いまよりも返済負担が軽くなりますよ」などと頻繁に提案されるようになります。「金利は低いし、返済が楽になるならいいか」と考えるのは、あまりに早計です。住宅ローンの借り換えの際には、手数料が必要となります。借り換え手数料としては、以下の通り。

 

①融資事務手数料:3~50万円程度(ネット銀行等の場合はゼロ円のケースが多い)

②保証料:0~45万円程度(ネット銀行等の場合はゼロ円のケースが多い)

③印紙税:2万円

④登録免許税:10万円程度

⑤司法書士報酬:5万~10万円程度

⑥全額繰り上げ返済手数料:3万円程度

⑦保証会社の事務手数料:1万円程度

 

あくまでも目安ではありますが、30万~100万円程度のコストを覚悟しておく必要があります。こちらも加味して、本当に借り換えが得なのか、見極めなければいけません。

 

――きちんとシミュレーションもした、よしっ!

 

とローンの借り換えにのぞめば、それでひと安心、というわけではありません。

 

――ローンの借り換え審査に落ちた……悲しい

 

というネットに書き込んだのは53歳の大手IT企業に勤務しているというサラリーマン。「給与は平均を超えていて問題ないはずなのに……」と続けます。その言葉通りであれば、月収51万円、年収は890万円を超えると考えられます(厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より)。同年代のサラリーマンの平均値は月収で42万円、年収で690万円ですから、確かに給与の面では懸念はないように思えます。

 

なぜ、審査に通らなかったのか……そこで分かったのが「健康状態が悪かったから」だといいます。

 

実は借り換えの審査は、新規借入時と比べて厳しいケースが多いとされています。その理由としては、①経年により物件の担保評価が下がっているから ②年齢を重ねることで健康状態を厳しくみられるから の2つ。もちろん、現状の給与や借入状態もみられます。物件の評価が下がっている分、申込者自身を厳しく審査するのです。

 

借り換えができず、八方塞がり……。そのような状態に陥らないよう、住宅ローンの借り換えは、複数の金融機関に申し込んでおくのがセオリーです。