残された家族にとって、まさに命綱といえるのが「遺族年金」。もし両親とも亡くなったとき、子どもはいくら手にできるものなのなのでしょうか。考えてみましょう。
月収42万円・50歳サラリーマンの父に続き、母まで亡くなりました…残された子どもが受け取る「衝撃の遺族年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

遺族年金受給中の母も亡くなった…

子どもの遺族年金受給権は、親が支給されている間は停止の状態にあり、その間は子どもが遺族年金を受け取ることはありません。ただし停止されている受給権は、親が亡くなると復活します。

 

遺族基礎年金を子どもが受け取るとき「79万5,000円+2人目以降の子の加算額*」をこの数で割った額が、1人あたりの金額になります。

 

*1人目、2人目の子の加算額…各22万8,700円、3人目以降の子の加算額…各7万6,200円

 

遺族厚生年金を子どもが受け取るときは、死亡した親の老齢厚生年金の報酬比例部分の3/4の額になります。ただし厚生年金の被保険者期間が25年未満の場合は、300月とみなして計算します。

 

たとえば、50歳の父、同い年の妻、そして15歳の息子、そんな3人家族がいたとしましょう。父は20歳から正社員として働き、平均的な給与を得ていたとします。

 

50歳サラリーマン(正社員)の平均月収(所定内給与額)は、42.1万円、年収は579.8万円(厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より)。この時点で亡くなると、遺族年金の算出の基本となる平均標準報酬額は44万円となり、遺族厚生年金は年65万円ほどとなります。遺族基礎年金と合わせると、妻(母)は1年で167万円ほどを受け取れる計算です。

 

さらにその母も亡くなると、子の受給権は復活。ただし残された子どもは父母2人分の年金を受け取ることはできません。これは父母が同時に死亡した場合も、父(母)の遺族年金を受給中に母(父)が死亡した場合も同様。今回のケースであれば、父の遺族年金を受け取る申し出をするのが正解だといえるでしょう。

 

また前年の所得が462万1,000円以下の場合に支給される「遺族年金生活者支援給付金」も親が死亡すると子どもが受給できます。支給額は月額5,140円。ただし2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,140円を子の数で割った金額がそれぞれに支払われます。最終的に今回のケースであれば、残された子どもが受け取れる遺族年金は14.5万円程度になる計算。このようにみていくと、最悪のケースを考えるなら、それなりの備えが必要だといえそうです。