教員採用を減らしたしわ寄せが「就職氷河期世代」の教員を襲う
教員の年齢構成についてみてみると、採用試験の倍率が高まったころ、つまり採用を大きく減らしたころにあたる40代が少なく、50代、さらにはその上の世代がやたら多いことが分かります(文部科学省『令和元年度学校教員統計調査』より)。
このいびつな構成により「ベテランと若手をつなぐ、中間管理職が圧倒的に足りない」と前出の男性。結果、常に業務過多で毎朝7時くらいに学校に来て、帰りはいつも22~23時という日々を過ごしていたとか。体力的にも精神的にも限界を感じ、なかには限界を超えてしまう教員も。
公立小学校の離職理由をみていくと、「病気のため」が2018年661人で、うち精神疾患が457人。10年前の2009年と比較すると3割増となっています。同じように、公立中学校でも3割増、公立高等学校で2割増となっています。
【教員の「精神疾患」による離職の推移】
2009年:349人/181人/69人
2012年:350人/217人/74人
2015年:331人/213人/75人
2018年:457人/242人/83人
出所:文部科学省『令和元年度学校教員統計調査』より
※数値は左より公立小学校、公立中学校、公立高等学校
いま教師の成り手が急激に減り、教員不足が叫ばれています。単に増やせばいいというわけではありません。質を保ちつつ、組織として適正な構成にならなければ、一部の世代に負荷が集中し離職が加速……と同じことを繰り返すことになるでしょう。