本記事では、慶應義塾普通部、東京海洋大学、早稲田大学等で非常勤講師をしながら「海外教育」の研究を続ける、本柳とみ子氏の著書『日本人教師が見たオーストラリアの学校 コアラの国の教育レシピ』より一部を抜粋・再編集し、教育先進国である「オーストラリア」の教育現場について、日本と比較しながら紹介していきます。
日本の保護者「忙しくて家庭学習なんて見ていられない」と苦情…→一方、教育先進国オーストラリアで見られる「工夫と対策」 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本の学校で家庭学習に保護者の協力を求めたところ…

特に、小中学生の保護者には、子どもが遊びの時間とバランスを取りながら家庭学習の時間を確保し、きちんと学習を終えるよう適切にアドバイスすることが求められている。確認のサインを求める学校も少なくない。

 

日本の学校で、家庭学習に保護者の協力を求めたところ、「忙しくてそんな時間はない」「教師がやるべきことをなぜ保護者にやらせるのか」という苦情が来たという話を耳にしたことがある。

 

確かに、忙しい保護者であれば子どもの家庭学習など見ていられないというのが正直なところだろう。オーストラリアでも同じだ。誰もが子どもの家庭学習に付き合えるわけではない。

 

そのため、学校はホームワークセンターなどを設置して、家庭学習の支援や補習を行ったりしている。特に、低所得家庭や先住民族の生徒が多い学校では、地域のボランティアなどを活用して積極的に支援している。

 

 

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教育学博士
本柳 とみ子


公立中学校で26年間教鞭をとったあと、大学院で海外の教育について研究を始める。その後、慶應義塾普通部、東京海洋大学、早稲田大学等で非常勤講師をしながら研究を続ける。2012年、早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)