(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●日経平均の上昇トレンドは、この10年ほど継続しているが、新年度入り後も続く可能性が高まった。

●ただ、中期的に三角保ち合いも形成されており、日経平均は当面、保ち合いの継続も予想される。

●保ち合いは下放れも上放れもあり得る、植田新体制の金融政策と長期上昇トレンドにも要注目。

日経平均の上昇トレンドは、この10年ほど継続しているが、新年度入り後も続く可能性が高まった

1月6日付レポート「チャートが示唆する日経平均株価の目先の方向性」で解説した通り、日経平均株価は、2013年5月高値と2018年1月高値を結んだ「上値抵抗線」と、2012年10月安値と2016年6月安値を結んだ「下値支持線」によって、長期的な上昇トレンドを形成しています。そのため、この10年ほど、株安局面では下値支持線がおおむね日経平均を支えてきました。

 

なお、この下値支持線は、3月31日時点で26,800円に位置していたため、新年度入り後も長期上昇トレンドが継続するか否かを判断する上で、日経平均株価の同日の終値が注目されました。結局、3月31日の終値は28,041円48銭と、下値支持線を大きく上回り、米金融不安がくすぶるなかでも、長期上昇トレンドは新年度入り後も続く可能性が高まりました。

ただ、中期的に三角保ち合いも形成されており、日経平均は当面、保ち合いの継続も予想される

ただ、その一方で、日経平均株価は上値の重い状況が続いています。日経平均株価の直近最高値は、2021年9月14日の30,795円78銭ですが、ここ1年半以上、日経平均株価はこの水準を超えていません。また、2021年9月14日以降につけた最安値は、2022年3月9日の24,681円74銭ですが、これ以降、足もとまで、日経平均株価はこの水準を割り込んでいません。

 

なお、2021年9月14日高値と2022年3月9日安値を起点に考えた場合、日経平均株価は中期的に「三角保ち合い(さんかくもちあい)」を形成していると解釈できます(図表)。

 

【図表】日経平均株価の中期三角保ち合い

 

ここでは、2021年9月14日高値と2023年3月9日高値を結んだ線が上値抵抗線、2022年3月9日安値と2023年1月4日安値を結んだ線が下値支持線となり、テクニカル分析上、株価は当面この2つの線の間で横ばい、すなわち保ち合い状態が続くと考えられます。

保ち合いは下放れも上放れもあり得る、植田新体制の金融政策と長期上昇トレンドにも要注目

この三角保ち合いの三角形の頂点は、2024年3月下旬に位置していますが、そこに至る過程で、日経平均株価が下値支持線を明確に下抜ければ、株価は大きく下落し、逆に上値抵抗線を明確に上抜ければ、大きく上昇することが予想されます。なお、三角形の頂点の株価水準は27,200円程度であり、仮にここまで保ち合いが続いてしまうと、日経平均株価は長期上昇トレンドの下値支持線を割り込むことになります。

 

以上より、新年度入り後も長期的な上昇トレンドは継続と判断されますが、中期的には三角保ち合いが形成されており、上値の重い展開が続くことも見込まれます。なお、長期上昇トレンドが形成された期間、日銀は異次元緩和を実施してきました。両者の因果関係は別途、検証する必要がありますが、植田新体制の金融政策の方向性と、長期上昇トレンドへの影響にも、注目したいと思います。

 

 

(2023年4月6日)

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「日経平均株価」の長期上昇トレンドと中期三角保ち合い【ストラテジストが解説】』を参照)。

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

 

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