46歳・飲食経営者「税金で“ゴミ”を増やしただけ」。「2,000万円」から大幅減額され…コロナ補助金で開業ラッシュ、その後の“悲惨な末路”【税理士が解説】

46歳・飲食経営者「税金で“ゴミ”を増やしただけ」。「2,000万円」から大幅減額され…コロナ補助金で開業ラッシュ、その後の“悲惨な末路”【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ補助金(事業再構築補助金)を利用して新店をオープンした店舗は多数あります。しかしその多くが、2年も持たずに閉店に追い込まれてしまいました…。本稿では「コロナ補助金」支給後の現実について、M&Aに詳しい税理士の都鍾洵(みやこ しょうじゅん)氏が事例をもとに解説します。

コロナ補助金支給後→2年も持たず多くが閉店…

「都先生、税金でゴミが増えただけな気がしてしまうんです」

 

ある日、顧問先の高橋社長(仮名・46歳)と話していると、こんな言葉を投げかけられました。

 

高橋社長は鉄板焼レストランを経営しています。彼のお店の近所には、コロナ補助金(事業再構築補助金)を利用して新店をオープンした店舗が多数あり、当初は「賑やかになってくれていい。これでまたこのエリアも活気が戻るかもしれない」と期待を寄せていました。

 

しかし、その新店の半数近くは2年も持たずに閉店してしまったのです。高橋社長は閉店後の店舗を見て、「税金で“ゴミ”を増やしただけなんじゃ」と感じずにはいられなかったそうです。

「補助金活用で高収益の“高級パン”事業」の言葉に釣られ…

高橋社長が個人的に付き合いのあった加藤社長(仮名)も、自身の店が閉店に追い込まれたうちの一人でした。加藤社長は飲食店を複数店舗経営しており、年商はついに1億円を超えるまで成長しましたが、コロナで大打撃を受けてしまいました。夜営業がメインの業態だったため、売上の低下は顕著だったようです。

 

そんな時、ネットサーフィンで見つけた一文が目に止まりました。

 

『コロナの損失、別事業で取り返しませんか? しかも国の補助金で』

 

補助金の話は何となく耳にしていたものの、この苦境でさらに新事業など考える余裕がなかったため、他人事だと思い込んでいました。しかし、そのサイトにはこのような事が書かれていたそうです。

 

『苦労して育てた事業をコロナで失ってしまった皆様! コロナは無くなりません。耐性のある別事業に進出すべきです。

 

そんな今、高級パン店に行列が出来ているのを街で見かけたことはありませんか?

 

驚くほどの収益力です。事業経験のある皆様なら、難しいことはありません。

 

コロナで資金が無い? ご心配なく!

 

今なら国の補助金で開店費用はたった1/4で済むのです。補助金申請サポートも実績豊富な当社にまるっとお任せください』

 

セミナーに参加すると、実店舗の実績値が開示されており、本当に高い収益力だったそうです。フランチャイズ加盟料を含めた初期費用は約3,000万円ですが、その内2,000万円は補助を受けることができ、実質的には1,000万円で開業することができます。

 

また、提示されたシミュレーションによると初年度で60万円/月、2年目以降は85万円/月の利益が最低でも見込めるとされ、たった1年半で初期投資が回収できてしまう計算になります。

 

念には念を入れて、国の補助金が本当か商工会議所に尋ねました。

 

「事業再構築補助金ですね。会社規模によって上限があります。高橋社長の会社は最大2,000万円ですね。補助率は申請枠によりますが2/3~3/4ですね」

 

(やはりセミナーで言っていた通りだ!)

 

こうして加藤社長はFC契約と補助金申請を依頼し、高級パン屋をオープン。補助金申請も無事に採択となり、加藤社長は大喜びで高橋社長にこの話をされていたそうです。

 

「高橋さんも高級パン屋やりなよ! ウチからちょっと離れたエリアで物件見つけてさ。こんな美味しい商売は滅多にあるもんじゃないから!」…熱っぽく話す加藤社長の話を聞きながら、「加藤さんと違って俺は細々やってくのが性に合ってるからさ」と言葉を返したそうです。

次ページ2,000万円だったはずの補助金採択額が「1,200万円」に…

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