厚生労働省より『令和4年賃金構造基本統計調査』の結果が公表され、労働者の最新の給与事情が明らかとなりました。今回は職業別に給与の実態をみていきましょう。
月収78万円・50代のエリートサラリーマン…60歳定年「退職金3,000万円」で勝ち逃げも「こんなはずでは。」失笑モノの転落劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

大企業勤務の大卒サラリーマン「退職金2,000万円」部長にもなると…

晩婚化、それに伴い第1子の誕生の高齢化、さらにそれに伴い住宅購入時期も高齢化……以前と比べて、あらゆるライフステージの年齢があがっています。

 

それによって、住宅ローンの完済時期も上昇。40歳前後でローンを組み、30数年で返済を計画するというのが平均となっています。もし繰り上げ返済などせずにいれば、住宅ローンのしがらみから解放されるのは70代。ほとんどの人が現役を引退し、年金生活に突入しているでしょう。

 

また各種ライフステージの高齢化により、家計の支出のピークも先送り。従来、50代前半くらいで子どもの教育費等から解放され、次は自身の老後のための貯蓄にラストスパート、というカタチでしたが、それが定年間近、なかには年金を手にする直前ということも珍しくありません。

 

20年後、30年後と、先を見据えた計画的な資産形成を考えていかないと、誰もが苦しい老後を覚悟しなければならない……多くの人がそのような状況にいるのです。

 

それでも余裕で構えていられる人たちがいます。いわゆる勝ち組とされるエリートサラリーマンです。日ごろ高給というのもあるでしょう。それに加え、彼らが手にするのが定年退職金。現在、多くの企業が60歳を定年年齢と定め、以降は再雇用という形で65歳、さらには70歳まで働ける環境を整えつつあります。そのようななか、エリートは高額の退職金を手にし、そのまま現役引退。悠々自適なシニアライフを手に入れるというのが、ひとつのパターンのようです。

 

中央労働委員会『令和3年賃金事情等総合調査』によると、退職金の平均額は、大学卒・総合職・定年で2,563.9万円。一方、厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、定年直前の50代後半、大企業に勤めている大学卒のサラリーマンは平均月収(所定内給与額)57.19万円、賞与を含めた年収は857万円。勝ち組であれば部長職という場合も。そうなるとさらに高給で、月収は78.40万円、年収は1,326万円。管理職の平均退職金は月収の40ヵ月程度なので、定年時に手にする退職金は3,000万円超え。これだけの大金を手にしたら、「定年後も我が社で働きませんか?」といわれても「結構です」と丁重にお断りしたくなるでしょう。