厚生労働省より『令和4年賃金構造基本統計調査』の結果が公表され、労働者の最新の給与事情が明らかとなりました。今回は職業別に給与の実態をみていきましょう。
月収78万円・50代のエリートサラリーマン…60歳定年「退職金3,000万円」で勝ち逃げも「こんなはずでは。」失笑モノの転落劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

「退職金で投資」のエリート…転落の理由、3つ

定年直近で月収78万円。定年退職金は3,000万円超え。嫉妬心すら覚えないほどの典型的な勝ち組エリート。誰もが悠々自適な暮らしを手に入れるかと思えば、なかには、まさかの事態に直面し、再び働き始める……そんなケースも珍しくないといいます。

 

そんな転落劇を繰り広げてしまう人のなかでも多いのが、投資を原因としてもの。問題なのは投資、そのものではなく、そのスタンスにあります。

 

投資で転落の理由① 金融機関から勧められるがままに投資

エリートの元には、定年退職よりも少し前に営業電話がかかってくることも珍しくありません。そこでは「大金をただ預けているともったいないですよ」「大きく増やせるチャンスですよ」など、聞き心地のいい誘い文句が。「金融のプロがいうのだから……」そういって、勧められるがままに投資をして大きな損失を被るケースが後を絶ちません。

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』(令和3年)によると、投資において「元本割れ」の経験がある人は37.9%。経験者に元本割れの経験の捉え方を聞いてみると、9割以上が「自分に問題があった」としています。一方で「相場の変動によって元本割れするリスクを金融機関が十分に説明しなかったためだ」が4.7%、「著しい誤解を招く広告、勧誘を金融機関から受けたためだ」が3.6%。また「金融機関の説明」を理由に挙げている人は、60代で6.6%と、50代よりも2.6ポイントアップ。実際に金融機関に勧められて退職金を運用する人が多いからでしょう。

 

どんな言葉巧みに誘われれても、理解が及ばない商品には投資をしないのが鉄則です。

 

投資で転落の理由② 退職金全額を一気に投資

退職金の一部を投資にまわし、結果的に損をするならそれほど問題はありませんが、意外に多いのが全額を一気に投資にまわしてしまうケースは多いもの。前出の調査によると、金融商品の選択の基準として「利回りが良いから」を挙げている人は19.8%。60代では16.4%、70代では15.8%でした。

 

多くの人が余裕資産で高利回りの商品を購入していると考えられますが、なかには前出のように「大きく増えるチャンスですよ」と勧められるがままにリスク商品につぎこむケースも。リスクが高いということは、それだけ損失が出たときも大きいということ。全額投資にまわす場合でも、リスク分散が基本です。

 

投資で転落の理由③ 損失を取り戻そうとドツボにはまる

投資で損失が生じたときに、多くの人が損失分をなんとか取り戻そうとするもの。パートナーにはいわずに退職金を投資にまわしているケースも多く、その場合「退職金が大きく減ってしまった」とはなかなかいえないでしょう。そうなると、何とか必死になって損失分を取り戻そうとします。しかし大抵の場合、そこでも手を出してしまうのはリスク商品。傷口をさらに広げる結果となり、退職金がすっからかん……そんな失笑モノの結果を招くことも珍しくありません。

 

 

退職金を余裕資金と捉えている人は多いですが、老後のための大切な生活資金。特に長寿化が進んでいるなかでは、大切にすべき保険と捉えるべきです。確かに大金をそのままにしておくのはもったいないことですが、生活資金をリスクの高い投資にまわすのは避けたほうが身のためです。