ドラッグストアで購入できたり、病院で処方されることも多くなってきた漢方薬。身近になりつつあるものの、まだまだ”大人の薬”という印象はないでしょうか? 今回は、3万人以上の親子の診察経験をお持ちの小児漢方医 鈴村水鳥さんにインタビュー。クラスの10人に1人が発達障害児といわれるなか、発達障害の子どもに漢方を使うメリットなどを伺いました。
10人に1人が「発達障害」だが…「漢方薬」を使うメリット、3つ【小児漢方医解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

「気・血・水」の流れが健康をつくる

東洋医学では、「気・血・水」という3つの要素が人間の体を構成していると考えます。気はエネルギー、血は血液や栄養、水はリンパ液などです。気血水が、過不足なく、体全体をスムーズに流れてる状態が健康です。

 

病気や不調は、気血水が「どの場所」で不足しているか、流れが悪くなっているかを考えます。その場所こそが、五臓「肝」「心」「脾」「肺」「腎」です。つまり、東洋医学では「どこの場所」で、気血水の中の「何が」バランスを崩しているかを考え、そのバランスを整える治療をします。

 

漢方薬と西洋薬の違いとは?

普段なじみのある西洋薬は、体の悪いところに対して一人のメンバーが素早く働きかける一点突破型。一方で、漢方薬は1つの薬の中に複数の成分が入っていて、それぞれの力を合わせるチーム型です。

 

例として、花粉症について説明します。西洋薬の代表は主に抗ヒスタミン薬です。ヒスタミンが受容体に結合することを抑えることで痒みなどのアレルギー症状を緩和します。

 

漢方薬の代表は小青竜湯です。小青竜湯は、麻黄、桂皮、芍薬、半夏、五味子、細辛、乾姜、甘草の8つの成分から作られています。麻黄が咳を抑え、麻黄と桂皮が発汗させ、細辛と乾姜が体を温め、五味子と半夏が痰を除去します。

 

それぞれ症状に対するアプローチ方法や働き方が違うので、どちらも上手に利用すると良いでしょう。

 

漢方薬は基本的に大人も子どもも同じものを使用します。子どもにとっての漢方薬の最大のメリットは0歳から飲めること。年齢制限があって西洋薬を飲ませることができない場合は、漢方薬が第1選択薬になります。

 

また、西洋薬を飲み続けているお子さんが、成長や症状に合わせて薬の量が増えてしまうケースもあります。そのような時は漢方薬を足して全体のバランスを取ることで、西洋薬の減薬につなげることもできます。