異次元の少子化対策の輪郭が徐々に明らかになっていくなか、問題となるのが財源。「これ以上、負担が重くなったら生きていけない……」と現役世代からは泣き言が聞こえてきます。みていきましょう。
月収34万円・44歳サラリーマン「もう、ムリだ」の壮絶…ついに「高齢者切捨て」の悲劇 (※写真はイメージです/PIXTA)

現役世代の負担、急拡大…もう高齢者を支えていられない

異次元の少子化対策。言葉がひとり歩きし、今年の流行語大賞の最有力候補になりそうな気配すらある、今日この頃。先日の記者会見でも、育児休業給付について「産後の一定期間に男女で育休を取得した場合の給付率を手取り10割に引き上げる」と岸田総理は表明。さらに就労時間の抑制につながるとされる「年収の壁」の解消についても言及しました。

 

「どこが異次元だ!」と揶揄されてきた少子化対策ですが、「本当に異次元になるかも」という期待感に変わってきた雰囲気さえあります。ただいまのところ具体的な財源の説明はなく、「風呂敷を広げるだけ広げて、どのように畳むんだろう……」という不安の声も。

 

とはいえ、本気で「異次元の少子化対策」に取り組まなければ日本崩壊、というくらいの危機的状況であることは多くの人が知る事実。昨年の出生数が想定の10年早く80万人を割ってしまい、日本の社会保障制度は、ますます先行きが不透明になってきたのです。

 

世界的にみても、日本の現役世代の負担は大きいもの。生産年齢人口(15歳~64歳)に対する65歳以上人口の比率である「高齢者扶養率」をみていくと、日本はモナコに続いて世界第2位。世界的な保養所であるモナコの特殊事情を加味すると、実質1位(しかも圧倒的)と考えていいでしょう。

 

【世界「高齢者扶養率」上位10ヵ国】

1位「モナコ」70.22%

2位「日本」50.97%

3位「イタリア」37.19%

4位「フィンランド」37.11%

5位「ギリシャ」35.48%

6位「ブルガリア」35.26%

7位「ポルトガル」35.20%

8位「マン島」34.95%

9位「プエルトリコ」34.94%

10位「フランス」34.78%

 

出所:世界銀行 資料: GLOBAL NOTE

※数値は2021年

 

高齢者扶養率は10年前の2011年で38.11%、20年前の2001年で27.34%、30年前の1991年では18.48%でした。急激に現役世代の負担が拡大したことがわかるでしょう。

 

現役世代の給与がどんどん上がり、「高齢者の1人ぐらい支えられる!」という状況であれば、なんら問題ではありません。ただ、そんな状況とはほど遠いことは誰もが知るところ。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、サラリーマン(平均年齢44.5歳)の月収34.20万円、年収554.91万円。コロナ禍からの回復で前年よりは増えたものの、これは1990年代前半と同水準。さらに昨今の物価高で、実質マイナスであることは誰もが実感していることでしょう。