今後の相続税対策の展望
このように、今後、従来の生前贈与による相続税対策には、大きく網がかけられることになりました。
代わりに、これまで相続税精算課税制度が大幅に改定され、生前贈与による対策としてはほぼ唯一のものとなる見通しです。
今後、相続税対策の主流は、生前贈与から、資産の相続税評価額を抑える制度や、相続人の経済的負担を抑える制度を活用する方向へとシフトしていくことが予想されます。
たとえば、自宅の敷地や事業用建物の敷地等について相続税評価額を抑える「小規模宅地等の特例」や、経営者が保有する自社株について相続税を実質上半永久的に免除する効果がある「事業承継税制」等が、これまで以上に重要な位置づけをもつようになると考えられます。
黒瀧 泰介(税理士法人グランサーズ共同代表 公認会計士・税理士)