(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年12月に政府が発表した「令和5年度税制改正大綱」において、これまで相続税の「節税」対策として活用されてきた年110万円の「暦年贈与」の「生前贈与加算」が7年へと延長されることになりました。他方で、「相続時精算課税制度」に年110万円の基礎控除が導入されるなど、生前贈与による相続税対策が大きく変容することが想定されます。今後の見通しについて解説します。

相続時精算課税制度が大幅改正で今後は生前贈与の主流に?

ところが、政府の「令和5年度税制改正大綱」において、相続時精算課税制度が大きく変更されることになりました。

 

主要な改正点をまとめると、以下の3つです。

 

【相続時精算課税制度の改正ポイント】

1. 「年110万円の基礎控除」が導入される

2. 基礎控除額について相続時の「持ち戻し」がない

3. 不動産が災害に遭って価値が低下した場合に評価額から控除される

 

◆改正ポイント1|「年110万円の基礎控除」が導入される

まず、年110万円の基礎控除が導入されます。

 

これによって、相続時までに資産が値上がりしなくても、値下がりの幅が110万円を超えなければ、損しないことになります。

 

また、評価額が変動しない現預金や小切手等についても、年110万円の非課税枠ができるので、相続時精算課税制度を利用するメリットが生じます。

 

◆改正ポイント2|基礎控除額について相続時の「持ち戻し」がない

また、「暦年贈与」の場合と異なり、基礎控除額については相続時の「持ち戻し」がありません。

 

相続時精算課税の年110万円の基礎控除の枠を利用したら、直ちに、その110万円には贈与税も相続税もかからないことが確定するということです。

 

◆改正ポイント3|不動産が災害に遭って価値が低下した場合に評価額から控除される

さらに、不動産(土地・建物)については、贈与の後で災害により所定の被害を受けて評価額が下がった場合、その分の額を控除することとなりました。

 

このように、相続時精算課税は制度改定によって従来よりも使いやすくなるといえ、今後は、これまでの「暦年贈与」に代わってこちらが主流となっていくことが想定されます。

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。