キャリアアップを目指した転職。退職時には、それまでの功労に応じて退職金が払われることも多いですが、一方で返還を要求されるというケースも。みていきましょう。
「退職金、返しなさい」「えっ!」月収50万円・42歳の勝ち組サラリーマン、転職で手にした歓喜の「退職金額」も一転、返還請求の悲惨 (※写真はイメージです/PIXTA)

2022年の転職者比率は男性で3.8%…20年勤務してたら退職金は726万円

賃上げ要望に対する回答が徐々に出ていますが、物価上昇分を超えるのは難しく、サラリーマンの厳しい状況はなかなか変わりそうもありません。また価格転嫁の進んでいない中小企業では、そもそも賃上げなどない、というケースも珍しくありません。

 

このような状況のなか、給与アップを目指すひとつの手段が「転職」。いっそのこと、会社を変えて給与アップを狙おう、というわけです。

 

総務省『労働力調査』によると、就業者全体に占める転職者の割合である転職者比率は2022年平均で4.5%で、前年比0.2%の増加でした。また男女別にみると、男性で3.8%、女性で5.4%。年齢別でみると、若年層ほど転職者率は高く、男性の「15~24歳」で7.8%、「25~34歳」で6.0%、「35~44歳」で3.0%、「45~54歳」で2.2%、「55~64歳」で3.7%。

 

転職市場では「35歳限界説」などといわれてきましたが、「それは過去の話」という主張も。しかし35歳を過ぎると、転職者比率は半減します。会社でそれなりのポジションとなり満足していたり、そもそも辞めづらくなったり、いろいろな事情もあるでしょう。どちらにせよ、転職はそれなりの覚悟がいること。思いきった選択であることに変わりありません。

 

また「いざ、転職!」となったときに、ちょっと頭をよぎるのが「退職金」。転職先で初給与をもらうまでにタイムラグが生じる場合や、「今まで頑張ってきたし、少しの間休めたら……」という場合に、退職金があれば心の余裕がまったく異なります。

 

厚生労働省『賃金事情等総合調査』(2021年)によると、勤続10年での退職金(自己都合)は平均179万円。5.1ヵ月分の月収にあたる退職金が支払われます。勤続20年になると平均726万円で月収の14.5ヵ月分相当になります。

 

【勤続年数別「平均退職金額」(自己都合)】

勤続年数3年(年齢25歳)32.3万円(1.3ヵ月)

勤続年数5年(年齢27歳)59.7万円(2.2ヵ月)

勤続年数10年(年齢32歳)179.9万円(5.1ヵ月)

勤続年数15年(年齢37歳)387.3万円(9.3ヵ月)

勤続年数20年(年齢42歳)726.5万円(14.5ヵ月)

勤続年数25年(年齢47歳)1,143.1万円(20.4ヵ月)

勤続年数30年(年齢52歳)1,706.7万円(28.8ヵ月)

勤続年数35年(年齢57歳)2,163.4万円(39.9ヵ月)

 

出所:厚生労働省『賃金事情等総合調査』(2021年)より

※(かっこ)内は、モデル退職金総額の月収換算月数