住宅ローン返済…適正かどうかを見極める「3つの指標」
その信用力から全額ローンで、20代でもマイホームが実現する公務員。ただ専門家は「借りる側が自制しないと破綻も現実となる」と警鐘を鳴らします。公務員であれば適正とされる限度額を超えてもなお、借入を勧めてくるケースが多く、「ローンは組めたが生活が本当に苦しい……」というのは珍しいことではないのです。
ローンが適性か否かを判断する際の基準は「年収倍率」「返済負担率」「完済年齢」の3つ。
まず「年収倍率」。借入額は年収の5倍まで、というのが適正とされています。一方、金融機関の貸出可能額は年収の8倍といわれていますから、すでに大きな差があります。
たとえば月収23.3万円、20代後半の公務員であれば、賞与4.4ヵ月分とすると、年収は382万円。おおよそ2,000万円の借入が限度、というわけです。ただ金融機関は公務員であれば3,000万円程度の借入までOKとするでしょう。
そして「返済負担率」。これは20~25%におさめるのが理想とされています。前述の公務員であれば、月々6.3万~7.9万円の返済が、理想的な返済プランというわけです。また返済負担率の上限を30~35%とする金融機関が多く、そこから逆算すると、9.5万~11.1万円でも「余裕で返せますね」と言われるわけです。そうなるとローン返済が始まった途端、家計は常に火の車。ちょっとしたプラスαの出費で返済は滞り、破産を覚悟しなければならなくなります。
最後に「返済年齢」。昨今は晩婚化、それに伴う第1子誕生年齢が上昇していることもあり、マイホーム実現年齢も高齢化が進んでいます。仮に40歳、35年ローンを組めば、完済は75歳と後期高齢者。年金が頼りの生活のなか、住宅ローンを抱えるのは大変なことです。住宅ローン完済は、年金受給が始まる65歳まで、というのが専門家の声。その点、20代でマイホームを実現すれば、35年ローンでも完済は65歳前。繰り上げ返済など考えなくても、理想的な返済プランだといえるでしょう。
実際は諸手当も加算されて、もう少し多くの借入ができるだろう公務員。ただし口八丁手八丁の営業マンにのせられ、何も考えずに全額ローンで家を買うと、その先にみえるのはローン破産。営業マンは公務員ブランドによってうまいことをいっている、と考えて、しっかりと家計と向き合うことが重要です。