ニッセイ基礎研究所の熊紫云氏は、資産形成のためには、債券、株式、不動産等投資商品を活用するのが必要で望ましい一方で、資産形成に向けてやってはいけないこともあるといいます。みていきましょう。
資産形成、やってはいけないこと…FX取引、暗号資産、NFTに手を出してはいけない (写真はイメージです/PIXTA)

4―まとめ

本レポートで、ギャンブル(賭け事)と投機は資産形成に向いていないこととその理由を説明してみた。

 

ギャンブルや宝くじは、参加者全員の持ち分合計が減っていき、利益合計が確実にマイナスなので、資産形成には全く向いていない。ギャンブル等はやはり娯楽として楽しむものなのだと思う。

 

株式のデイトレード、FX取引の短期売買等短期取引は参加者全員の持ち分合計が一定で、利益合計がゼロというゼロサムゲームで投機取引であり、資産形成には向いていない。

 

暗号資産(仮想通貨)、美術品、NFTなどはインカムを受け取ることもなく、一般人には本質的な価値が良く分からず、将来的な価値上昇を合理的に期待できる仕組みもなく、需給関係だけで価格が決まる投機商品に該当し、これも資産形成には向いていない。

 

投資は参加者全員の持ち分合計が増えていき、将来の利益合計がプラスになると合理的に期待できるものなので、長期の資産形成に向いている。債券、株式、不動産など投資商品にはインカムもしくは将来的な価値の増加を期待できる仕組みがある。

 

但し、投資のプロでない限り、個別銘柄投資は資産形成に向いていない。投資商品であっても、銘柄選択や分散投資に気を付けながら長期保有することがとても大切である。

 

以上をまとめてみると、資産形成に向いているのは、債券、株式、リート等の投資であり、分散投資や換金性を考えると投資信託を利用した証券投資が良いと思われる。株式のデイトレードやFX取引の短期売買、個別性が強い美術品や新しく市場に出てきた暗号資産(仮想通貨)、NFTなどは、資産形成に向いていない。普通の一般人は、こうした投機には手を出すべきではないと考える。

 

長期的な資産形成のためには、安心して投資できる商品が数多くある、現行つみたてNISA、新NISA(つみたて投資枠)、確定拠出年金制度(企業型DC及び個人型のiDeCo)等の税制優遇諸制度を積極的に活用すべきであろう。資産形成に向けて、少額でも良いので積立投資を始めるなど、なるべく早く準備を始めることが何より重要であると考えている。まずは実際に投資を始めてみてはどうだろうか。