「初任給30万円」。そんな見出しがニュースに並ぶ。ついに賃上げ時代の到来か……と思いきや? 現実はそうでもないようで。これにより「脱年功序列」の波が迫り、「長く働いていれば給与は上がるもの」という楽観的な未来予想図は崩れ去ろうとしているのです。恐ろしい現実を直視していきましょう。
月収36万円・40歳サラリーマン「初任給30万円に続け!」意気揚々と給与アップ望むも撃沈「これは悪夢か?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

大手企業、賃上げ続々!初任給、大台の30万円も

――初任給30万円

 

そんな夢のような話が現実のものになろうとしています。

 

現在、積極的な賃上げの動きが続いていますが、そのなかで初任給を引き上げる企業が増えています。たとえば、ゲーム大手のセガ。大卒であれば22.2万円だったのが35%アップの30万円とし、正社員の年収を平均15%ほど引き上げるとしています。同じゲーム業界では、任天堂も4月から一律10%アップし、大卒初任給は23.3万円から25.6万円に。

 

またユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、大卒初任給を25.5万円から4.5万円引き上げ。さらに、入社1〜2年目で就く新人店長の月収を29万円から39万円にするといいます。

 

初任給引き上げの動きは、メガバンクでも。三井住友銀行は16年ぶりに新卒初任給を5万円増の25.5万円、みずほ銀行は13年ぶりの引き上げで20.5万円から26万円へ引き上げます。

 

現在、新卒市場は完全な売り手市場。昨今のインフレへの対応はもちろんのこと、人手不足解消に向けて人材の奪い合いが激化していることが、相次ぐ初任給アップに繋がっています。

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、大卒の新規学卒者の月収(所定内給与額)は平均22.54万円(産業計、男女計)。

 

規模別にみていくと、従業員1,000人以上企業で22.98万円、従業員100〜999人企業で22.39万円、従業員10~99人企業で21.59万円です。

 

また業種別では「鉱業、採石業、砂利採取業」が最も高く25.15万円。続くのが獣医学的サービスや土木建築に関する設計や相談のサービスといった「学術研究、専門・技術サービス業」で23.82万円、「医療、福祉」23.53万円と続きます。一方で最も低いのが郵便局や協同組合等の「複合サービス業」で19.94万円。「運輸業、郵便業」の21.39万円、「教育、学習支援業」の21.45万円と続きます。

 

同じ新卒社員といっても企業規模や業界によって既に結構な格差が生じています。