平均月収21万円の非正規社員、時給換算すると…
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、正社員(男女)の平均月収(所定内給与)は32.3万円。労働時間から換算すると、時給は1,948円になります。また男性に限ると、平均月収は34.8万円、時給は2,088円と、時給は2,000円を超えます。また年齢別(20代~60代前半)にみていくと、男性正社員の場合、20代前半では時給1,305円ですが、20代後半では1,546円を超え、以来、全年代で時給1,500円をクリアします。
一方、非正規社員(男女)の平均月収は21.6万円、時給換算1,345円で150円ほどのギャップがあります。男性に限定すると、月収は24.1万円で時給換算1,480円と、1,500円まであと一歩届かず。また年齢別にみていくと、男性非正規社員の場合、時給1,500円を超えるのは50代前半と60代前半のみ。現役時代、ほぼ1,500円には届かず、といった状況です。
【年齢別「非正規社員と正社員」の時給】
20~24歳:1,145円/1,305円
25~29歳:1,298円/1,546円
30~34歳:1,342円/1,781円
35~39歳:1,364円/2,008円
40~44歳:1,414円/2,183円
45~49歳:1,432円/2,324円
50~54歳:1,505円/2,531円
55~59歳:1,472円/2,566円
60~64歳:1,685円/2,105円
出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出
仮に最低賃金を1,500円にしたら、非正規社員の月収は24.5万円、手取りは19万円ほどになる計算になります。これで十分かどうかは判断が分かれるところですが、人間らしい生活はできそうです。
ただし「賃上げ」ムードは高まるものの、非正規社員の賃上げは厳しそうな様子。
東京商工リサーチが行ったネット調査によると、「賃上げを行う」とした企業は全体の80%。一方で「非正規社員の賃上げを行う」としたのは55%に留まります。イオンなど一部大手で非正規社員の賃上げの動きがみられるものの、日本全体に広がるかといえば、懐疑的な見方が大勢を占めます。
そもそも賃上げムードのなかでも2割の正社員は蚊帳の外。まずは正社員の賃上げ、その次に非正規社員の賃上げ、となるのが現実的。非正規社員が人間らしい生活を手に入れるのは、少し遠い未来になりそうです。