賃上げムードが広がるなか、焦点となるのは、物価高騰分を上回る賃上げとなるか、そして正社員だけでなく非正規社員にまで及ぶのか。「最低賃金を全国一律1,500円に」という運動も広がりをみせていますが……みていきましょう。
手取り16万円…非正規の50歳男性「ツラい」とポツリ「#最低賃金を全国一律1500円に」も虚しく (※写真はイメージです/PIXTA)

最低賃金を全国一律1,500円に…運動広がる

――50歳過ぎて、月収20万円。時給にしたら1,500円以下…ツラい

 

ネット上のそんな書き込みをした非正規社員だという50歳の男性。物価高が続くなか、困窮する現状を訴えています。月収20万円が額面だとすると、手取りだと16万円ほど。確かに、生活するのも大変そうです。

 

そんななか、SNSで話題になっているのが「#最低賃金を全国一律1500円に」。物価高で生活が困窮するなか「最低賃金を1,500円に引き上げて人間らしい生活をさせろ!」という主張です。

 

最低賃金は、最低賃金法に基づき国が最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者と使用者で合意したとしても、それは法律によって無効となります。

 

最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類があります。前者は、産業や職種にかかわりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用されるもの。後者は、特定の産業について設定されているもので、令和2年4月1日現在、全国で228件の最低賃金が定められています。

 

また最低賃金が適用されるのは、毎月支払われる基本的な賃金。実際に支払われる賃金から「①結婚手当など、臨時に支払われる賃金」「②賞与など、1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金」「③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金」「④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金」「⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分」「⑥精皆勤手当、通勤手当及び家族手当」を除外したものが対象です。

 

2022年度の全国平均(全国加重平均:全国の最低賃金を都道府県ごとの労働者数で重み付けして平均した額)は961円。1,500円からは500円以上のギャップがあります。

 

都道府県別にみていくと、最も最低賃金が高いのはやはり「東京都」で1,072円。ここでもギャップは400円以上。一方、最も最低賃金が安いのは「沖縄県」をはじめとした10の地域で853円。650円ほどのギャップがあります(関連記事:『都道府県「最低賃金」ランキング<2022年>』)。

 

【都道府県「最低賃金」上位5】

1位「東京都」1,072円

2位「神奈川県」1,071円

3位「大阪府」1,023円

4位「埼玉県」987円

5位「愛知県」986円

 

出所:厚生労働省『地域別最低賃金の全国一覧』より