国からのお願い「自助努力」に日本人はどう応えたらいい?
厚生労働省『令和3年賃金構造統計調査』によると、男性会社員の給与(所定内給与)は結婚適齢期とされる20代後半で25.3万円、30代前半で29.0万円。手取りはそれぞれ、20万円、22万円といったところ。この収入で「結婚して、いずれは子どもを1人、いや2人……」などと、明るい未来を描くことができるかといえば、なかなか難しいでしょう。
また「給与が増える」という実感があれば、まだいいのですが、誰もが知る通り、失われた20年とか30年などいわれるなか、給与はまったくあがらず、むしろ下がっていくという状況。やはり結婚に踏み切るには勇気がいる、という人が増えるのも無理がありません。
――結婚して、そして子どもを
国からのお願いは、それだけにとどまりません。
――将来の面倒は自分でみてね
岸田総理による「資産所得倍増計画」。現在、年間15万円ほどといわれている資産所得を倍、つまり30万円にしようと息まいています。投資メリットが拡大するわけですから、あちらこちらから賞賛の声が多数。一方で、痛烈なツッコみも。
――そもそも投資するお金なんてありません
そう、資産所得倍増という前に、生活するだけで精一杯で、投資の元金すらないという人の声であふれているのです。「資産所得倍増計画は金持ち向けの政策」と揶揄されるのも、仕方がありません。
そもそも預貯金好きの日本人を投資に向かわせようとするのは、先ほど触れた「2040年問題」を解決するため。このまま少子高齢化が進めば、現行の社会保障制度は崩壊。早急な改革が必要です。これは何を意味するのかといえば、「いままでのような社会保証サービスは諦めて、その分は自分でどうにかしなさい」ということ。
たとえばいま原則3割とされている医療費負担を5割にします、とか
たとえば国民年金、満額支給なら年78万円ほどですが、その半額にします、とか
このようなことをしなければ、2040年、日本の社会保障は崩壊するとされているのです。そうならないためにも、「若い時から資産形成を頑張れ!」と推し進めているわけです。
しかしながら、投資にまわすお金すらない現状。さらに昨今の物価高が追い打ちをかけ「それどころじゃない」という人ばかり。賃上げのニュースを耳にする機会が多いですが、「どうか、うちの会社でも……」と祈るしかないのです。