2022年の人口動態の速報により、日本の少子化がかなりマズイことになっていることが明らかになりました。さまざまな政策で出生数をあげようと躍起になっていますが、躍起になっているのは少子化対策だけではありません。みていきましょう。
結婚なんて贅沢!手取り20万円の日本人に「老後のことを考えて」の無茶ぶり (※写真はイメージです/PIXTA)

出生数80万人割れ…少子化対策、待ったなしの緊急事態

2022年の出生数が前年比5.1%減で80万人割れ……。センセーショナルに報じられたこちらのニュース、出生数が80万人を割るというのは、1899年の統計開始以来初めてだとか。さらに日本在住の日本人だけに限れば77万人前後になるとされています。

 

政府の推計によると、出生数が77万人になるのは、2033年とされていました。つまり、それよりも10年ほど早いペースで少子化が進んでいるといえます。さらに高齢化も加わり、2040年には現行の社会保証制度が維持できなくなると危惧されてきたため、「2040年問題」などといわれてきました。それが「2030年問題」になるほど、出生数80万人割れはインパクトのある数字だったわけです。

 

急速な少子化の進行を受け、岸田首相は「社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際」とし、「異次元の少子化対策」も待ったなしという姿勢を強調しました。ただ、出産適齢期とされる女性の人口は減る一方で、出生数を増やすのは困難。いかに減少のスピードを緩やかにできるかが勝負となります。

 

また日本の場合、出生数と密接に関係する婚姻数。2022年は、前年より微減となる50万組。戦後、婚姻数は1972年、109万組をピークに減少、1980年代後半から2000年にかけて増えるも、その後は減少の一途を辿っています。そして50歳時点で結婚経験のない割合である生涯未婚率は、男性で28%、女性で18%ほど。「結婚しない」という選択肢は、いまや珍しいものではなくなっています。

 

では結婚したくないのか、といえばそうでばないようで、20~59歳の結婚していない人を対象に「将来結婚する意志」を聞いたところ、45.1%が「いずれは結婚したい」、16.8%が「2~3年以内に結婚したい」、14.6%が「すぐにでも結婚したい」と回答。約8割が結婚の意志を持っています。

 

それにも関わらず、なぜ結婚をしないのか……やはりそこにあるのは経済的な事情。「結婚したほうが2馬力となって経済的にはラクになる」という考え方もありますが、「結婚したらいずれは子どもを」と考える人が多いなか、「経済的に余裕がないのに結婚に踏み切れない」と考えのは、ごく当たり前のことだといえるでしょう。