物価高騰で頭が痛いなか、「携帯電話の通信費は随分と下がった」という人は多いのではないでしょうか。一方で法改正により「携帯端末は高くなった……」と感じている人も多いでしょう。しかし売り場には「激安スマホ」の文字を目にすることも。そんな状況を公正取引委員会は問題視しているようで……みていきましょう。
えっ実質1円⁉まだあったんだ「激安スマホ」公正取引委員会が緊急調査 (※写真はイメージです/PIXTA)

なぜ「激安スマホ」はなくならないのか?

なぜスマホの極端な廉価販売は行われるのでしょうか。報告書では、極端な廉価販売の実績がある3社の販売代理店に対し、実施した理由について回答を求めています。

 

回答が多かったのは「MNPから統一的な施策として実施するよう指示があったため」「MNP獲得指標(MNPにより転入してくる人との新規通信契約の獲得件数に基づく評価)の目標値を達成するため」というもの。またMNPの営業担当から「この機種を1円で販売してほしい、という働きかけがあった」「1円で販売しないと他の店舗に負けると指導があった」という回答も(図表)

 

※出所:公正取引委員会『携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査』より
【図表】 ※出所:公正取引委員会『携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査』より

 

そして、MNOと販売代理店との取引上の地位は「①スマホやアクセサリー等の販売収入は、仕入原価との値差が小さく、粗利益はほとんどない」「②販売代理店にとっての利益の源泉はMNOからの支払金に依存している」「③MNOの取引上の地位は販売代理店に対し優越している場合がある」とし、「優越的地位の濫用」となる恐れがあるとしています。

 

報告書では「今後、MNOと販売代理店の取引を対象とした独占禁止法上の問題について監視を強化するとともに、独占禁止法違反行為が認められた場合には、厳正に対処する。」と締めくくっています。

 

たまに目にする驚くほど安いスマホに、嬉しい半面、疑問を感じている人も多かったことでしょう。もちろん法律に抵触することなく「驚くほど安いスマホ」を実現している場合もあり、一概にいうことはできませんが、公正取引委員会が問題視していることは明らか。「驚くほどスマホが高い」がさらに当たり前になりそうな予感です。