家計の収支をみる『家計調査』。そこから見えてきたのは、負担感が増すばかりの日本人の姿でした。さらに物価高も加わり、苦しくなるばかり。この先はどうなってしまうのか……みていきましょう。
平均手取り32万円…日本人が必ず直面する、20年後の壮絶すぎる現実「もう、ダメかもしれない」 (※写真はイメージです/PIXTA)

10年で税金や社会保障費の負担増…高齢者人口がピークとなる2040年を超えられるか

10年前、2012年の家計と収支を比較してみると、実収入は20%ほど増え、なかでも配偶者(女性)の収入が60%の増加。この10年で共働き世帯が増え、世帯収入を押し上げています。

 

一方、消費支出は2012年比102%と、ほとんど増えていません。世帯収入が増えた分は、消費以外のところに向かっています。

 

税金や社会保険料など世帯の自由にならない支出や借金利子などである非消費支出は、25%ほど増加。実収入の増え方よりも、税金や保険料の負担増のほうが実感として大きいかもしれません。

 

【2021年と2012年「勤労世帯の家計収支」の比較】

■実収入:617,654円/518,506円 (119.1%)

・世帯主収入(うち男):425,991円/395,076円(107.8%)

・世帯主の配偶者の収入(うち女):94,573円/58,964円(160.4%)

■消費支出:320,627円/313,874円(102.2%)

■非消費支出:116,740円/93,501円(124.9%)

・直接税:49,445円/40,228円(122.9%)

・社会保険料:67,175円/53,173円(126.3%)

(内訳※一部抜粋)

・公的年金保険料:39,938円/31,105円(128.4%)

・健康保険料:22,058円/18,484円(119.3%)

・介護保険料:3,785円/1,920円(197.1%)

 

出所:総務省統計局『家計調査 家計収支編』より

 

この家計における非消費出の負担増は、少子高齢化が主要因。総務省統計局によると、2021年10月1日時点で、人口は15年連続で自然減を記録。その減少幅は拡大の一途を辿っています。次の時代の担い手である15歳未満は総人口に対して11.8%で過去最低を記録。そして現時点で社会を支える15~64歳は全体の59.4%で、こちらも過去最低を記録。一方で65歳以上人口は全体の28.9%となり、過去最高を記録。そのうち後期高齢者となる75歳以上は全体の14.9%。いまや日本人の6人に1人が75歳以上で、15歳未満よりも多くなっています。

 

今後、高齢化率は2030年に31.2%、2040年には35.3%にまで上昇する見込み。後期高齢者の割合も2040年には20.2%と、日本人の5人に1人は75歳以上になります。増え続ける高齢者を支えるために、現役世代は今まで以上に税金や社会保障費を負担しなければならない、というのは避けることのできない未来なのです。

 

この高齢者数がピークに達する2040年、現行の社会保障制度の継続が危ぶまれるタイミングだといわれています。俗にいう「2040年問題」です。抜本的な改革なしには、現行の社会保障サービスは受けられなくなるといえるでしょう。

 

――医療費が全額負担⁉

――公的年金が半分に⁉

 

嘘のようなことが、起きないとはいいきれないほど、事態は切迫しています。そこで昨今言われているのが自助努力。「こんなに税金や保険料を払っているのに、自分のことは自分で面倒みろなんて!」と憤りを感じるのも仕方がありません。しかし日本人は全員土俵際。「やるしかない」という選択しか残されていないのです。