(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの人が、60代以降の老後の生活について、様々な不安を抱えています。「円安」「インフレ」が顕著な今日ではなおさらです。本記事では、60歳を前に「自主定年退職」した元・大学教授で会計学博士の榊原正幸氏が、著書『60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話』(PHPビジネス新書)から、快適な老後を迎えるための「お金」と「仕事」への向き合い方について解説します。

今、60代の人へ─「望ましい引退」への最終調整のとき

今、60代の人は「もう老後」です。

 

ですから、「イヤじゃない仕事」に就くためのアドバイスはありません。定年前の人は、定年後の生活への具体的な準備をする時期ですし、定年後の人は「今の生活」を充実させることに専念すればいいと思います。

 

しかしながら、ここであえてアドバイスをするとすれば、それは「私はもう60歳を過ぎたけど、老後の準備はまだ十分ではない」という人に対してです。そういう人もたくさんいらっしゃると思います。

 

人生を60年もやってくれば、「経済的な意味での自分の生活水準」は定まってきます。

 

そして、今60代の人は、その「経済的な意味での自分の生活水準」を維持していくのに、いくらの「フロー(=年収)」といくらの「ストック(=金融資産)」が必要かを考えてみてください。そして、それに足りない分を補えるようになるまでは働きましょう。

 

これだけの簡潔なアドバイスしかできませんが、「経済的な意味での自分の生活水準」ということをきちんと考えずに、ただ漠然と「不安を抱えて生きている」という人が多いように思います。

 

今、60代の人は、「もう老後」なので、これから生活をドンドン派手にしていく必要はありません。「今の生活」を維持するのに、どのくらいの「フロー(=年収)」といくらの「ストック(=金融資産)」が必要かを考えればいいのです。

 

そして、それを持続できるようにする(昨今流行の言葉で言えば「サステイナブル」にする)ための「最終調整」の時期が60代です。

 

私は2022年12月現在でまだ61歳ですので、「60代としては新参者」ですが、「人生が終盤に向かっている」という実感だけは、ひしひしと感じます。60代は人生の終盤戦ですから、「老後の準備はまだ十分ではない」という人は、じっくりと腰を落ち着けて、最終調整をしてほしいと思います。

 

 

榊原 正幸

 

元大学教授

 

会計学博士・税理士

 

60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

60代を自由に生きるための誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話

榊原 正幸

PHP研究所

「老後の資金が足りるか心配」 「定年後もお金のためにイヤな仕事を続けなくてはならないの?」 「仕事を辞めた後、自分の居場所ってあるんだろうか……」 そんな悩みをまとめて一刀両断! 「お金の不安もなく、好きなこと…

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