今、60代の人へ─「望ましい引退」への最終調整のとき
今、60代の人は「もう老後」です。
ですから、「イヤじゃない仕事」に就くためのアドバイスはありません。定年前の人は、定年後の生活への具体的な準備をする時期ですし、定年後の人は「今の生活」を充実させることに専念すればいいと思います。
しかしながら、ここであえてアドバイスをするとすれば、それは「私はもう60歳を過ぎたけど、老後の準備はまだ十分ではない」という人に対してです。そういう人もたくさんいらっしゃると思います。
人生を60年もやってくれば、「経済的な意味での自分の生活水準」は定まってきます。
そして、今60代の人は、その「経済的な意味での自分の生活水準」を維持していくのに、いくらの「フロー(=年収)」といくらの「ストック(=金融資産)」が必要かを考えてみてください。そして、それに足りない分を補えるようになるまでは働きましょう。
これだけの簡潔なアドバイスしかできませんが、「経済的な意味での自分の生活水準」ということをきちんと考えずに、ただ漠然と「不安を抱えて生きている」という人が多いように思います。
今、60代の人は、「もう老後」なので、これから生活をドンドン派手にしていく必要はありません。「今の生活」を維持するのに、どのくらいの「フロー(=年収)」といくらの「ストック(=金融資産)」が必要かを考えればいいのです。
そして、それを持続できるようにする(昨今流行の言葉で言えば「サステイナブル」にする)ための「最終調整」の時期が60代です。
私は2022年12月現在でまだ61歳ですので、「60代としては新参者」ですが、「人生が終盤に向かっている」という実感だけは、ひしひしと感じます。60代は人生の終盤戦ですから、「老後の準備はまだ十分ではない」という人は、じっくりと腰を落ち着けて、最終調整をしてほしいと思います。
榊原 正幸
元大学教授
会計学博士・税理士