(※写真はイメージです/PIXTA)

税制は、税負担の公平確保、経済社会の変化に対応できるようにするため、毎年見直しが実施されています。本来であれば支払う必要のない税金を無駄に支払わないようにするためには、2022年度(令和4年度)の税制改正大綱の内容を確認しておくことが重要です。税制改正大綱の内容を振り返ってみましょう。

富裕層に影響を与える税制改正

富裕層は、税制上の優遇を活用して資産を増やしているケースも多く、現行制度には課税の公平性という点で問題がありました。

 

そこで、以下の3つが税制改正大綱に盛り込まれました。

 

▶上場株式等の配当所得等における課税方式の一致

現行制度では、住民税において、所得税における「確定申告の分離課税若しくは総合課税または申告不要」とは異なる課税方式を選択できます。

 

適切な課税方式を選択することによって、税負担を軽減でき、健康保険料が高くなることを回避できる、などの恩恵が受けられます。

 

しかし、2022年度の税制改正大綱で、令和5年度分の所得税(令和6年度分の住民税)から住民税の課税方式を所得税の課税方式と一致させることとなります。

 

▶上場株式等に係る配当所得等の課税の特例

現行制度では、持株割合3%未満の株主は受け取る配当について、「申告不要、申告分離課税もしくは総合課税」のいずれかの選択が可能でした。。そのため、条件を満たすために、3%以上の株式を個人と同族会社に分けて所有するケースが見られました。

 

しかし、2022年度の税制改正大綱で、持株割合の判定をする際、個人と同族会社の合計持株割合が3%以上の場合には総合課税の対象となり、その上場株式等に係る配当と上場株式等に係る譲渡損失を損益通算することができなくなります。。令和5年10月1日以後に支払うべき配当は新ルールが適用されるので注意してください。

 

▶財産債務調書制度の提出義務者が追加

現行制度では、以下のいずれにも該当する人が財産債務調書制度の提出義務者となります。

 

①その年の退職所得を除く各種所得金額の合計金額が2,000万円を超える
②その年の12月31日においてその価額の合計額が3億円以上の財産またはその価額の合計額が1億円以上の国外転出特例対象財産

 

しかし、2022年度の税制改正大綱で、①を満たしていないケースでも「その年の12月31日においてその価額の合計額が10億円以上の財産を有する居住者」が対象に加えられて、令和5年分以後の財産債務調書について適用されることになりました。

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